目次
そのほかに戻ってくる費用はある?
 ・1. 税金関連
 ・2. ローン関連
注意すべきポイントは?
 ・1. マンションの管理費と修繕積立金は返金対象外
 ・2. マンションを手放しても修繕費用を負担

そのほかに戻ってくる費用はある?

マンションの売却は、火災保険料と地震保険料のほかにも返金される費用があるので、紹介していきましょう。

1. 税金関連

マンションの売却では、火災保険料や地震保険料だけでなく返金されるものもあります。

固定資産税精算金

一般的な不動産売買では、固定資産税及び都市計画税(以下、総称して「固定資産税」という。)の負担分を売主と買主で分担し、売買代金決済時に精算します。例えば、売主がすでにマンションの固定資産税を全て納めていた場合、1月1日から引渡し前日までを売主の負担とし、引渡し日以降は買主の負担分として日割り計算します。つまり、買主が負担する分は決済時に売主へ支払われるため、売主としては、その分の固定資産税が戻ってくることになるのです。なおこれらの取り決めは、売主・買主が同意している必要があります。

2. ローン関連

住宅ローンを組んでマンションを購入していた場合、ローン契約(金銭消費貸借契約)時に保証料を一括前払いしていれば、マンション売却時に未経過分の返金があります。ただし、住宅ローンを契約した銀行および保証会社によっては返金の計算方法が異なります。事前に確認しておきましょう。

注意すべきポイントは?

先の章では、保険料の返金について述べましたが、逆に返金できない、うっかりすると負担する羽目になる費目もあります。

1. マンションの管理費と修繕積立金は返金対象外

原則として、マンションの管理費や修繕積立金が戻ってくることはありません。なぜなら、管理費や修繕積立金は建物全体の維持管理等に使用されるものだからです。例えば、マンションの区分所有者が部屋(専有部分)を売却するたびにそれぞれ個別に管理費等を返還していては、管理組合の財政状況が悪くなり、建物の良好な維持管理が困難になってしまいます。

仮に、管理組合の規約に大規模修繕に基づく修繕積立金の返還について記載があれば、その分が返還される可能性もありますが、基本的には「戻ってこない」と思っていた方がよいです。

2. マンションを手放しても修繕費用を負担

マンションを売却して引き渡したあとであっても、物件のどこかに欠陥箇所が発見された場合、契約不適合責任(旧瑕疵担保責任)により、原則としてその修繕費用は売主が負担するのが一般的です。その場合は、火災保険料の返戻金を修繕費に充てることができます。

とはいえ、このような事態を防ぐためにはマンションの売却前にできるだけ欠陥部分がないかをチェックし、もし欠陥があれば修繕を行い次の方が安心して入居できる環境を整えておくことが大切です。火災保険の契約期間中であれば、万が一災害によりマンションが損傷した場合でも、保険料を充てることで修繕費を安く抑えることも可能です。

なお、売主が宅地建物取引業者(いわゆる不動産会社)ではなく個人や一般法人の場合は、売主が契約不適合責任を負う期間を「引渡し日から6カ月以内」と限定したり、免責することもできます。もちろん、契約の相手方となる買主の合意が必要なので、契約前に協議しておくと安心です。