3.約3,000万人のアクティブシニア人口

我が国には、元気で就労意欲に溢れ、豊かな経験と知恵を持っている「アクティブシニア」と言われる高齢者の方々が沢山います。

みずほ銀行の調査では、2030年には65歳以上の高齢者3,685万人のうち、要介護者は19.8%の730万人程度に留まり、それ以外の80.2%に相当する2,955万人がアクティブシニアであると推計されています。

(一財)日本総合研究所会長の寺島実郎氏は、「シニア世代にとって重要な社会参画の分野として、まず最初に挙げておきたいのが『食と農』である」と指摘しており、このようなアクティブシニア人口を定年退職後に農業に誘引することができれば、農業現場の労働力不足は大きく軽減されることが期待されます。

4.都市部に住む元気な高齢者が農村で活躍

横浜市に住むシニア仲間で構成される「浜っ子中宿農園」では、長野県飯綱町でりんごやプルーン、さくらんぼ等の果樹を栽培しており、約30人の会員が横浜と飯綱町を行き来することで成り立っています。

定年退職後に住み慣れた住居を手放し、農村に移り住むとなると心理的負担が大きい人も多いかもしれません。しかし、都市部での生活基盤を維持しながら、年間の栽培スケジュールに応じて月に数日から数週間ほど通いで農業に携わるこの形態であれば、都市部のシニア世代にも取り組みやすいのではないでしょうか。

経理に詳しい人は経理、営業が得意な人は営業を担当する等、会社員時代の経験や強みを生かして各人が力を発揮できる点も特徴的です。何より、こうした取り組みはシニアにとっても生きがいや役割の創出といった利点が多く、健康寿命の延伸や介護予防にも繋がるものと確信しています