今、不動産業界は、20年ぶりのパラダイムシフトを迎えようとしています。
その背景は、2022年5月頃に予定されている改正宅地建物取引業法の施行。今まで紙での交付や対面が必須だった契約手続きなどの規制が緩和されます。その結果、オンラインでの手続きが可能となり、不動産業界のデジタル化が加速していくでしょう。
日本における「規制産業とインターネットの融合」の代表例といえば、証券や銀行、生保。これらの産業でオンライン取引が可能となってからは、誰もが当たり前に利用しています。この動きが今、不動産業界で起きようとしています。
それはオンラインで完結できる不動産取引「ネット不動産」の解禁であり、「ネット不動産」時代の到来といっても過言ではないでしょう。
ネット不動産とは
「ネット不動産」を一言でいうと、オンラインで完結する不動産取引のこと。
従来の不動産取引は宅地建物取引業法上、対面での対応や紙の契約書の用意、郵送など、オフラインが中心でした。他の業種に比べてオンライン化が進んでいなかった背景はこの点にあります。
ですが、2022年5月に予定されている改正宅地建物取引業法の施行により、紙の契約書や対面での対応が必須ではなくなります。そのため、不動産業界は一気にオンライン化が進み、「ネット不動産」が当たり前の時代になると考えられるでしょう。
ネット不動産のメリットは不動産業者にだけではなく、利用者の利便性をも向上します。その結果として不動産取引が身近になり、誰もが当たり前に不動産取引をする時代が来るのではないでしょうか。
ネット不動産が実現する背景
まず「デジタル社会」の形成のため、流通する情報のデータ化(デジタル化)を目的として、2021年にデジタル改革関連法が成立。この関連法整備の一環として、宅地建物取引業法の改正も進みました。
この改正により、不動産業においては以下が大きく変わります。
不動産売買契約やそのほか交付すべき書類、重要事項説明の実施
- 今まで)紙による交付が義務で押印が必要、重要事項説明は対面での実施が義務
- 改正後)紙ではなくデータでの交付が可能で押印は不要、重要事項説明書はテレビ会議などを活用した非対面での実施、電子交付が可能
紙ではなく電子データで、対面ではなく非対面での対応も可能となるため、ネット不動産の実現が可能になるのです。