外資系企業や海外コンテンツが日本に多く進出してきています。経済的にも文化的にも海外が身近になったいま、「自分の語学力を活かし、フリーランスの翻訳家になりたい」と考えている方もいるでしょう。
そこで今回は、フリーランス翻訳家になるために必要なスキルやフリーランス翻訳家の年収、おすすめの求人サイトをご紹介します。
目次
フリーランス翻訳家の年収・単価
フリーランス翻訳家になるには?必要な3つのスキル
フリーランス翻訳家向け求人サイト6選
おわりに
フリーランス翻訳家の年収・単価
フリーランス翻訳家の年収

通訳・翻訳ジャーナルの調査によると、フリーランス翻訳者の平均年収は411万円です。
なお、アンケート対象者は実務経験が3年以上の翻訳者であるため、未経験の場合は多少下がると予想されます。グラフでは年収100万円未満の翻訳者も多数いますが、副業系フリーランス翻訳者とのことです。
ジャンル別翻訳案件の単価
ひとことで「翻訳」といっても、翻訳する内容に応じて単価は変わります。そのためジャンル別に翻訳案件の単価をみていきたいと思います。

上記の画像は、日本翻訳連盟が公開している翻訳料金の目安です。
もっとも高いのは、「医学・医療・薬学」の翻訳です。医学翻訳が高単価になる理由は、求められる専門性の高さと専門用語の多さ、最新の情報をアップデートし続けなくてはならないことにあります。そのほか、「金融」や「経営管理・財務・契約書」など専門性が要求されるものになるほど、料金が高くなるのが分かりますね。
翻訳未経験で知らないジャンルを翻訳をするのは困難なことです。まずは、これまでのキャリアで培った専門性を活かせるジャンルに挑戦するのがよいでしょう。
言語別の単価
言語ごとに翻訳の需要や翻訳者の数などが異なるため、その単価はさまざまです。つぎは、地域別に言語ごとの単価を見ていきましょう。
アジア言語
日本語→外国語 | 外国語→日本語 | |
中国語 | 6円〜8円/字 | 8.5円〜11円/字 |
韓国語 | 6円〜8円/字 | 7円〜8円/字 |
台湾語 | 8円〜10円/字 | 11円〜12.5円/字 |
タイ語 | 9円〜11円/字 | 16.5円〜24円/字 |
ベトナム語 | 10円〜11円/字 | 22円〜24円/字 |
インドネシア語 | 9円〜11円/字 | 18円〜24円/字 |
(出典:EMEAO「39ヶ国語の翻訳費用の相場一覧」より一部抜粋)
日本と経済的/文化的にも密接なアジア圏ですが、他地域に比べると案件の単価は劣ります。一方で案件数が多いのが特徴です。ただし、経済/政治的に不安定な国もあり、情勢によっては仕事数の増減が激しい言語もあるでしょう。
ヨーロッパ圏のメジャー言語と比べると学習者が少なく、初心者からでも参入しやすい言語になります。日本に身近な地域であるため、リサーチの際にも比較的情報が手に入りやすいのが嬉しい点です。
西ヨーロッパ言語
日本語→外国語 | 外国語→日本語 | |
英語 | 8円〜9円/字 | 15円〜18円/字 |
スペイン語 | 10円〜12円/字 | 20円〜22円/字 |
フランス語 | 10円〜11円/字 | 15円〜22円/字 |
ドイツ語 | 10円〜12円/字 | 19.5円〜24円/字 |
イタリア語 | 10円〜11円/字 | 20円〜22円/字 |
ポルトガル語 | 10円〜11円/字 | 20円〜22円/字 |
(出典:EMEAO「39ヶ国語の翻訳費用の相場一覧」より一部抜粋)
英語をはじめ、「翻訳」をイメージしたときに挙げられる言語です。アジア圏に比べると、経済/政治的な影響を強く受けにくいため、安定した仕事が見込めるでしょう。
東ヨーロッパ言語
日本語→外国語 | 外国語→日本語 | |
ポーランド | 10円〜12.5円/字 | 20円〜26.5円/字 |
チェコ | 13円〜23円/字 | 20円〜35円/字 |
ハンガリー | 15円〜25円/字 | 20円〜35円/字 |
(出典:EMEAO「39ヶ国語の翻訳費用の相場一覧」より一部抜粋)
西ヨーロッパ言語に比べて、若干単価が上がりますが、募集は多くありません。
中東言語
日本語→外国語 | 外国語→日本語 | |
アラビア語 | 12円〜12.5円/字 | 20円〜28円/字 |
トルコ語 | 14円〜22円/字 | 20円〜35円/字 |
(出典:EMEAO「39ヶ国語の翻訳費用の相場一覧」より一部抜粋)
案件数が多いわけではありませんが、数ある地域のなかでも、比較的高単価な案件が多いのが特徴です。
フリーランス翻訳家になるには?必要な3つのスキル
語学力
フリーランス翻訳家として働くならもちろん、語学力は必須です。TOEICなど資格試験の点数を募集時に定める案件もありますが、求人サイト登録時にテストを設けるケースがほとんどです。あくまで案件を獲得できるかは、その人の実力次第であるため、日頃の語学学習は欠かせません。
また翻訳の仕事では、辞書を使ったり、内容に関する情報を調べたりしながら進めるのがほとんど。そのため語彙力だけでなく、文構造をきちんと把握し、正しく訳す力も重要になります。
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専門知識や技術
「翻訳案件の単価」の項目でもご紹介したとおり、翻訳の際には専門知識が必要です。ビジネスに関わる文章を訳す産業翻訳の場合、その業界の知識が求められます。
一方、映像翻訳や文学翻訳などでは、文化的背景に関する知識が必要です。語学が長けているだけではなく、その国ならではの文化や慣習に明るくなくてはなりません。
さらに、ジャンルごとに要求される技術もあります。たとえば映像翻訳では、一文に対する文字数に制限があるため、表現の幅が限られるなかで、英日/日英に訳す技術が求められます。
日本語力
じつは見落としがちなのが日本語力です。日本語と外国語の文構造は大きく異なり、直接翻訳すると不自然になってしまいます。自然な表現を目指すために、日本語ではあまり使わない表現や不自然なコロケーションなども調整していく必要があります。
たとえば、下記の例文のように、英語では無生物(雪、建物、機械など)を主語として使いますが、日本語では無生物を主語にしない傾向があります。そのため直接訳すと、違和感を覚える文章になってしまいます。
The heavy snow prevented him from going home yesterday.
英語の直訳:あの大雪は彼の帰宅を妨げた。
日本語的翻訳:あの大雪のため、彼は昨日家に帰れなかった。
(出典:wikipedia)
このように翻訳する言語に関する知識はもちろんのこと、日本語の特徴を捉えることで、より自然な日本語訳を作れるようになります。
また、英語から日本語に翻訳する「英日翻訳」の方がより案件の単価が高くなる傾向があります。英日翻訳の需要を踏まえても、日本語力を磨くのがおすすめです。