焼き鳥チェーン大手の鳥貴族が、新型コロナウイルスの影響で苦境に陥っている。コロナの影響で飲食店は軒並みダメージを受けているが、鳥貴族の売上高の減少幅は大きい。鳥貴族は、この窮地を乗り切れるのか。

2020年4月度の売上が96.1%減

鳥貴族は5月12日に2020年4月度の月次報告を公表しており、既存店売上高は前年同月の3.9%、客数は3.8%だった。実に、96.1%もの売上が減ったことになる。3月度から新型コロナウイルスの影響が出ており、3月度は既存店売上高が前年同月の83.9%、客数は81.1%だった。

鳥貴族が発表している直近決算は、2019年8月1日~2020年7月31日の2020年7月期第2四半期分だが、第2四半期までの累計業績は決して悪いものではなかった。

  • 売上高:174億1,000万円(前年同期比2.4%減)
  • 営業利益:13億5,800万円(同278.4%増)
  • 経常利益:13億4,400万円(同294.9%増)

    2020年7月期の通期決算の予想は、営業利益は10.0%増の13億900万円、経常利益は10.4%増の12億6,400万円で着地するというものだった。

    ただし、この2020年7月期第2四半期決算が発表された3月6日時点で、すでに鳥貴族は新型コロナウイルスが及ぼす影響の可能性について触れている。イベントの中止や在宅勤務の広がりを考慮し、「下期については予断を許さない状況が続くものと認識しております」と述べた。

    そして、この予想が現実のものとなった。

飲食店に大ダメージ、鳥貴族も休業や資金借り入れ

新型コロナウイルスの影響を特に受けている業種としては、ホテル・旅館や民泊などの宿泊業やアパレル関連のほか、飲食業も挙げられる。民間調査会社の東京商工リサーチによると、5月22日時点で倒産した飲食系企業は27件に上っている。

緊急事態宣言や外出自粛によって来店客が激減し、臨時休業や時短営業を余儀なくされる飲食店が増えている。売上の大幅減は、家賃などの固定費が重くのしかかることで、キャッシュフローは悪化に直結する。

経営が苦しいのは、鳥貴族も同じだ。鳥貴族は5月6日、すべての直営店舗で実施していた臨時休業を当面延長することを発表した。国が緊急事態宣言を延長したことを考慮した措置と見られる。

鳥貴族は、4月末に25億円の借り入れを発表した。また5月1日には、全取締役と監査役の役員報酬を4割減額することも明らかにしている。

一方でマクドナルドやケンタッキーは売上増

新型コロナウイルスの影響を受ける中で、売上を伸ばしている飲食チェーンがある。マクドナルドやケンタッキーなどだ。

マクドナルドの今年4月の既存店売上高は、新型コロナウイルスの影響を受けながらも前年同月比で6.5%増となった。客単価が約3割増加し、テイクアウトやドライブスルー、宅配での販売が伸びた結果だ。これが市場で好感され、日本マクドナルドホールディングスの株価はビフォーコロナの水準に戻している。

ケンタッキーを展開する日本KFCホールディングスが5月13日に発表した4月の既存店売上高は、前年同月比33.1%増だった。マクドナルドと同様に、テイクアウトの需要やデリバリーの需要が増えたことが売上増につながった。同社の既存店売上高は、17ヵ月連続で前年同月比を上回っている。
 

営業再開で売上回復を目指す

鳥貴族はマクドナルドと同じ飲食チェーンだが、単純に比較することはできない。

マクドナルドやケンタッキーではこれまでもテイクアウトなどの需要はあり、持ち帰って自宅などで食べることに適した商品を販売していた。一方で居酒屋は、「集う場所」としての役割がマクドナルドよりも強い。その意味で、新型コロナウイルスに柔軟に対応するのは簡単ではないはずだ。

非常事態宣言が解除されたことを受け、5月29日から関西エリアと東海エリアにある直営店が営業を再開した。また、5月30日から関東の直営店230店舗の営業も再開することとなった。営業再開により、スローペースかもしれないが、鳥貴族の売上高は回復していくはずだ。新型コロナウイルスの今後についてはまだ不透明だが、ここでV字回復できるかどうか、鳥貴族の力が試されている。

 

文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)
 

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