スパイスごとに最適の温度帯で調理

また、今回発売するカレーはすべてスパイスが効いたエスニック系のカレーだ。園田氏は「さまざまなレトルトカレーが発売されるなか、スパイスを使ったカレーをレトルトで再現するには難しい部分がある」と話す。一般的なレトルトカレーはすべての具材を同時に高温で長時間加熱する。そのため、具材ごとに異なる適正な温度帯に対応できないほか、一部のスパイスにはダメージもあるという。「エスニック系のカレーを再現するには冷凍食品が適している」という考えのもと、本格的なエスニックカレーを開発した。

今回の4種類のカレーはすべてスパイスごとに最も香りがたつ温度帯で調理し、ベストな状態で冷凍。また、「バターチキンカレー」と「マッサマンカレー」に使う鶏肉は焼いておき、ソースと一緒に長時間煮込まないことで具材そのもののおいしさを引き出しているほか、じゃがいもは揚げることで細胞膜の破壊を抑制している。

「冷凍食品「だから」おいしい」 セブンイレブンが描く冷凍食品の新たな方向性
(画像=4種類のエスニックカレーは、各スパイスに最も適した温度帯で調理している、『DCSオンライン』より 引用)

このように、手間のかかる工程を経ておいしさを追求できるのは、協業先のデイリーメーカーの存在が大きい。商品の求める品質や価格などに応じて最適な協業先とタッグを組み、独自性の高い商品開発に取り組んでいく考えだ。

園田氏は「さまざまな業態が冷凍食品に力を入れるなか、セブン–イレブンらしい商品をつくるには“奥行き”を広げることが必要。新たな付加価値を提供し、『冷凍食品なのにおいしい』ではなく『冷凍食品“だから”おいしい』と思っていただけるようなレベルをめざしたい」と話す。また、現在展開している80~90アイテムから大きく品揃えを拡大するのではなく、改廃を重ねながら全体の品質を大幅に引き上げたいという。

今回の発表会の際に新商品のサンプルをいただいたので、筆者も早速食べてみたが、冷凍食品とは思えない味・品質だった。とくにカレーはスパイスの香りがよく感じられ、専門店で出来立てを食べているかのようだった。セブン–イレブンは人流に頼らず、「目的来店性の高いわくわくする店舗づくり」をめざしているが、味や品質が専門店並みでかつ価格も300~400円台の冷凍食品があるとなれば、来店客数増に少なからずよい影響を与えるのではないだろうか。

提供元・DCSオンライン

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