リテラシーを高める3つの方法
ネットリテラシーの低下は、詐欺被害にあうなど問題に直結しかねない。では、具体的にはどうすればリテラシーを高めることができるだろうか。僭越ながら、筆者からオススメしたい方法論を紹介する。それには3つある。
まずは「事実」と「意見」を意識することだ。影響力があるとされる人物が「感染危機が去ったから、東京は緊急事態宣言を解除した」とTwitterで投稿すれば、「この人が言うのだから間違いないだろう」と発言のすべてを「事実」として鵜呑みにしてしまう人もいる。しかしよく見ると、「東京が緊急事態宣言を解除した」という部分は事実である一方で、「感染危機が去ったから」という部分はあくまで「意見」に過ぎないことに留意する必要がある。このように1つの発言の中にも、事実と意見が混在するケースは少なくない。
そして「意見」については、一方向からではなく多面的に見ることが重要だ。「地方移住は低コストで、ネット全盛期の今はメリットづくし」という意見があれば、「地方移住はオススメしない」など、反対意見も必ず見るなどだ。多面的に見た結果、「移住の良し悪しとは、個々人の家族構成や年代、職業などステータスで総合的判断が求められる。そのため、最後は自身で熟考することでしか決して最適解にたどり着くことはない」といった「他者の意見は鵜呑みにせず、参考程度に留めるべき」といった他者の意見への賛成・反対の「外側の結論」にたどり着くかもしれない。いずれにせよ、どれだけ識者・影響力がある人物の意見を見せられても、常に多面的に思考する習慣を持つことでリテラシーを高められるだろう。
それから「文章は最後まで読むこと」である。文章を正確に読めない人は文章を文脈ではなく、単語だけで判断してしまうきらいがあると感じる。記事のタイトルや文頭の流れを2-3行だけを見て、勝手に自分で結論づけて理解したつもりになってしまうのだろう。ビジネス記事や書籍の商業出版をしている筆者の元にも、内容を誤解、曲解した人から感想のコメントをもらうことが少なくない。文章は単語やタイトルだけを拾っても、正しく理解することはできない。正確な読解とは、文脈上に込められた筆者の意図を解釈する行為である。そのためにも、面倒がらずに「文章は最後まで読む」ということが必要になる。
さて、色々と書いたが、リテラシー向上の必要性がある人はここまで読んではいないだろう。その逆も然りだ。リテラシー向上の必要性を、リテラシーが必要な「文章」という手段で訴えるのは、難しい。
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文・黒坂 岳央/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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