課題を克服した「量子重力センサー」が開発される!

地下の空洞を検出できる量子重力センサーが開発される
(画像=課題を克服した量子重力センサー / Credit:Michael Holynski(University of Birmingham)et al., Nature(2022)、『ナゾロジー』より引用)

量子重力センサーは、量子物理学の原理を利用した超高感度な計測器です。

原子を自由落下させた際の微妙な変化を測定することで、僅かな重力の違いを検出できます。

とはいえ、量子重力センサーも振動や機器の傾き、磁場や熱場の影響を受けてしまいます。

超高感度ですが、それゆえ環境ノイズに弱いことが大きな課題となり、これまで「実用化は難しい」と考えられていたのです。

しかしチームは今回、新しい設計を導入することで、課題となっていたノイズ除去に成功したのです。

実際、野外で新しい量子重力センサーを試したところ、地下約1mにあるトンネルを確認できました。

地下の空洞を検出できる量子重力センサーが開発される
(画像=量子重力センサーによって地下のトンネルを発見 / Credit:Michael Holynski(University of Birmingham)et al., Nature(2022)、『ナゾロジー』より引用)

量子重力センサーが、環境要因の少ない実験室の外で成果を収めたのは、これが初めてです。

研究チームは、「従来の方法よりも信頼性が高く、安価で、10倍はやくなる」と述べています。

これまで1カ月かかっていた調査を、僅か数日に短縮させることも可能なのです。

新しい量子重力センサーが製品化するなら、建設・探査などの作業が一気に加速するでしょう。

将来的には、「火星など、太陽系の他の惑星の内部構造を調査するのに役立つ」と言われています。

量子技術を運用するなら、惑星でさえ内部まで丸裸にできるのですね。

参考文献
Sensor breakthrough paves way for groundbreaking map of world under Earth surface

Unlocking the secrets of the solar system with gravity! Quantum gravity sensors have been developed that can detect pockets of ground water or tunnels deep inside a planet

元論文
Quantum sensing for gravity cartography

提供元・ナゾロジー

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