「自分の年収は低いのか」「周りの人たちの年収はいくらなのか」と気になっている人も多いでしょう。本記事では、日本人の平均年収をさまざまな観点から解説します。自分の年収と比較することで、キャリアプランを考える上での参考にしましょう。
年収に関する基礎知識

まずは年収についての基礎知識を解説します。ニュースで目にする機会もある統計情報などを把握する上で重要なポイントなので、ぜひ押さえておきましょう。
年収と手取りの違い
『年収』と『手取り』はどちらもよく聞く言葉ですが、両者は異なる意味を持っています。年収は会社から1年間に支給される給与の総額を指す言葉です。
しかし会社から支給される金額が、従業員の口座に全額振り込まれるわけではありません。収入を得ている人は、所得税や社会保険料を納める必要があります。会社員の場合、会社が税金や社会保険料を給料から天引きして、代わりに納めてくれています。
つまり年収から税金や社会保険料などを引いて、実際に従業員の手元に残る金額が『手取り』なのです。納めるべき税金や社会保険料の金額は人によって異なるため、一般的に収入を示す際には『年収』が使われています。
平均値と中央値の違い
テレビやネット上の情報で『平均年収』を目にすることも多いかもしれません。しかしより実態に近い収入事情を把握するには、『中央値』を確認する方が適しています。
平均値とは、対象となるデータを全て足し、データの個数で割った数です。日本では年収数百万円の人が大多数であるのは想像に難くないでしょう。しかし中には年に数千万〜数億円稼ぐ人もいれば無収入の人もいます。
平均値は、このように極端に大きいまたは小さい数値の影響を受けます。
一方で中央値とは、データを小さい順に並べたときに、ちょうど真ん中にあたる値を指します。中央値は極端な数値の影響を受けにくいため、リアルな年収事情を把握するには、中央値に注目するとよいでしょう。
日本の平均年収はどれくらい?

日本人の平均年収と年収の中央値を見ていきましょう。両者の意味合いの違いを考慮しながらデータを把握することが重要です。
日本の平均年収は552万円
厚生労働省が好評した2019年度の『国民生活基礎調査』によると、2018年時点の日本人の平均年収は約552万円でした。「高齢者世帯」が約312万円、「高齢者世帯以外の世帯」が約659 万円、「児童のいる世帯」が約745 万円です。
日本人の平均年収は、年齢が上がるにつれ上昇する傾向にあります。50代後半でピークを迎え、その後は徐々に減少していきます。
参考:2019年国民生活基礎調査の概況 P11|厚生労働省
中央値は437万円
それでは年収の中央値はどうでしょうか。厚生労働省が実施した『国民生活基礎調査』によると、2019年度の年収の中央値は437万円でした。
『所得の分布状況』を確認すると、所得の分布が100〜500万円台に偏っていることが見て取れます。日本では所得が100万円から500万円台の人だけで全体の半数以上に達しており、ここがボリューム層です。
このように、中央値を見ることでより実態に近い数値を把握できるとわかるでしょう。
参考:2019年国民生活基礎調査の概況 P10|厚生労働省