プラットフォーマーの脅威

ダイナミックプライシングを可能とする、ビッグデータやAIといったテクノロジー。これらを豊富に持つのが、ECサイトなどのプラットフォーマーです。ECサイトのメールに記載されている、おすすめ商品が、あまりに自分の欲しいものと一致していて「怖い」と思ったことはありませんか。

購買履歴から、好みを把握し、可処分所得を予想する「能力」を持っている。プラットフォーマーは、ある程度「人によって価格を変える」ダイナミックプライシングが実行可能、と言えるでしょう。

もし、実行されたらどうなるでしょうか。

自分が支払える「最大額」が欲しい商品に設定されているのでは? 他の人は、自分より安い価格で購入できるのかも…、と「不安感や不公平感」が募る。そして、

「自分だけボッタくられているのではないか?」

と、企業へ不信感を抱くかもしれません。

不安感や不公平感を抱かせない

2019年11月の音楽イベント「Yahoo!チケットEXPERIENCE VOL.1」では、(需給状況に連動した)ダイナミックプライシングが導入されました。価格は、5万円超(第1期 最前列)から3,000円(第3期後半)と、大きく変動。参加した男性は、こうこぼします。

「2万円も出して買ったのに、数列後ろの席が数千円だったと知り損をした気分になった」 (Wedge 2020年3月号 「AI値付けの罠」)

ダイナミックプライシングを導入する際は、「不安感や不公平感」を抱かせないよう考慮する必要があります。

許容しなければならない時代へ

タクシーの運賃も、ダイナミックプライシングを導入する方向で検討が始まりました。 タクシー運賃 ダイナミックプライシング導入へ 時間帯や天気に応じて(FNNプライムオンライン 2021年2月24日)

高値で買ってるのは自分だけ? 浸透するダイナミックプライシング
(画像=George Clerk/iStock、『アゴラ 言論プラットフォーム』より 引用)

手持ちのお金が少ないとき、タクシー利用を躊躇するようになるかもしれませんね。

今後、さらに浸透すると思われるダイナミックプライシング。一定の価格変動は、許容しなければならない時代が近づいています。

[ 参考 ]
※1
“情報卸”のサービス スーパーマーケット向け「LINEミニアプリ」をいなげやが正式導入 | ニュース | D&S SOLUTIONS

※2 FSP(Frequent Shoppers Program=フリークエント・ショッパーズ・プログラム

顧客の利用頻度・生涯価値を高めるため、実施される施策。ポイント・サービスカードの提供、航空会社が提供するマイレージサービスなどを指す

文・関谷 信之/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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