初出場の2014年、日本選手権で12位に入るも、表舞台から姿を消した木村征一郎選手。人知れず進化を遂げ、3年ぶりとなった2017年の同選手権で7位、常連上位陣を脅かした。一体、どんなトレーニングをしているのか?その秘密に迫った。見えてきたのは、重量にこだわらずやり方を固定しない、効かせるトレーニングだった。
取材:木村卓二 撮影:北岡一浩 取材協力:KING GYM (IRONMAN2018年1月号から引用修正)
「セット数はトータルで胸は35セット前後……」
――木村選手が更に大きくなったという声が聞こえてきます。
木村 ありがとうございます。そういう声を、もっと僕に届けて下さい(笑)。全体的に大きくしたいと思い、サイドも含めた大腿四頭筋のセパレーション、ハムストリングス、背中の凸凹感、その辺を強化しました。ハムストリングは、カットも出ないし弱いなと思っていました。臀部もそうです。肩は、昔やっていなかった前面を強化して、成果が出たのかなと思います。
――なぜコンテストから遠ざかっていたのでしょうか?
木村 大会に出ないことに理由はないんです。逆に、出ることに理由が必要でして、「今年は理由、何にしよ?」という感じです。来年は、嫁さんと相談して決めます。きちんと子育てをすれば、出させてもらえると思います(笑)。大会に出なくても困らないですが、トレーニングがないと困ります。体力的にも自信がつきましたし、トレーニングしていなければ、消防士にもなっていないと思います。
木村 1番最初は中学生時代の腕立て伏せやダンベルですが、本格的に始めたのは、杉田会長のワールドジムに入会した、15年ほど前のことです。当時のワールドジムは、重い重量でガンガンやる方が多く、それに倣っていました。背中や腕は発達しやすかったのですが、肩、カーフ、脚は、重量を重くしても、なかなか大きくなりませんでした。きっかけは忘れましたが、コントロールできる軽めの重量でサイドレイズをやるようにして、パンプ感をずっと覚えていけるようになったら、プレス系も効き始めました。カーフも、高重量だと腱には効くものの、筋肉に乗りませんでした。今は、スタンディングのカーフレイズは70㎏くらいで充分で、50㎏でもいいぐらいです。逆に150㎏や200㎏でやっても効かないです。
――誰かの影響はありましたか?
木村 雑誌で見たりしたかもしれませんが、誰かにアドバイスを頂いたということはありません。何が合っているのか考えながら、自分で探りました。どういうポジションが効くのかなど、1人で試すのが好きなんです。
――何分割トレーニングですか?木村 今は4分割です。胸と腕、脚全体、肩と腕、背中です。腕は二頭筋と三頭筋を同じ日にやります。カーフは背中の日と脚の日です。5分割や2分割や3分割でやったこともありますが、回復を考えて、今のやり方に落ち着きました。オフは基本入れないです。
――種目について教えて下さい。
木村 何をやるか決まりがなく、毎回違います。最初にやる種目も決めていません。例えば、ベンチプレスですが、何番目に行うかによって、扱う重量も違います。だから、なおさら重量に対するこだわりがないんです。コントロールさえできていたら、筋肉にダメージを与えられると思っています。
――セット数はいかがでしょう?
木村 トータルで言うと、胸は35前後、脚は60~70、肩は40~45、背中は僧帽筋含めて40~45、上腕二頭筋は14セット、上腕三頭筋は14セットです。腕は3年前までは7セットでしたが、細いと思い、倍にしました。ハムストリングスも倍にして、効果が出ました。順番はその時々で変えています。
――レップス数などは、どういった基準で決めるのでしょうか?