ロシアからの支援を頼りにしてきたキューバであるが、今回のロシアのウクライナ侵攻で支援の減少を覚悟せねばならないキューバ。

そのキューバもカストロの独裁政権で国民の権利と自由が束縛された生活を余儀なくさせられている。カストロ兄弟による1959年のキューバ革命の前までのキューバは米国への輸出は全輸出の73%、輸入は70%という比率であった。ところが、キューバ社会主義革命の影響で当時のソ連との取引に依存するようになった。取引といってもその多くがソ連からの援助であった。

しかし、ソ連が崩壊するとキューバはその影響をもろに受けGDPは35%まで後退した。そしてキューバはそれまでの砂糖の輸出に依存した経済から独自に自立経済を発展させる必要に迫られた。しかし、これまで産業の発展は図っておらず、しかも米国からは経済封鎖を受けていた為に発展には限界があった。

1960年代から血液の輸出開始

そのような状況下で外貨を稼ぐ為に密かに発展させて行ったのが血液の輸出である。住民から献血によって集めた血液をキューバ政府は輸出していたのである。勿論、住民はそれを知る由もないし、世界の公的機関でも殆ど知られていなかった。その輸出はベールに包まれていたのである。例えば、NGOのキューバファイルがそれを知ったのは2013年のことだという。

それを機縁にキューバファイルは独自の調査を開始。それによると、キューバ貿易年鑑から1964年に最初にそれを輸出していたのが判明。その最初の輸出相手国はカナダである。またベトナム戦争の時にベトコンにも半リットル50ドルで販売していたという。

同NGOによると、1995年から2019年までに血液の輸出額は8億ドルにのぼるという。例えば、1995年だとベトナムとカナダに3000万ドルの輸出をしている。年間で最高輸出額を記録したのは2011年のほぼ6300万ドルとある。最低の年は2008年の1400万ドル。2019年だと1600万ドルとある。2019年の場合にこの輸出額が少なくなった理由には経済の極度の後退とそれに伴って医療設備の劣化が原因だと推察されている。勿論、それによる献血に協力した市民への感謝の記念品も食料不足などから粗末品でしかない。

更にそれから派生してインターフェロン、アルブミン、イムノグロブリン、毒素なども輸出対象品目となっている。

主要輸出相手国はロシア、イラン、ベネズエラ、ブラジル、アルゼンチン、エクアドルとなっている。これらの国は何れも国の指導者がキューバと深い関係を持っていたことに依存している。

国民を騙して外貨を稼ぐのに献血を促進するカストロ政権

カストロ政権が如何に国民を騙していたかというのを如実に示す証拠として1970年のペルー地震の時に独裁者フィデル・カストロは国民に献血を募った。ペルーで血液が必要というのが理由だった。この献血にボランティアで参加したキューバ市民に対し飲み物やサンドイッチを感謝の意味で提供した。ところが、政府は集めた血縁をペルーに輸出販売していたのである。

市民からはボランティアで献血に参加してもらう一方で、軍人や刑務所の囚人に対してはそれを義務づけた。同様に手術を受ける患者の家族からも献血を義務づけた。更に刑務所に収監されている囚人を家族が訪問する時も同様に献血が要求されている。

記録として残っていることとして1966年5月27日に死刑が宣告されていた市民と軍人166人からも血液を採血していたことが判明している。(以上2月3日付「ABC」から引用)。特に1960年代は銃殺する野党議員は誰もが採血されていたという。

同じく2021年5月までに31人(キューバ人28人と外国人3人)の政治犯が銃殺される前に採血されていたこともキューバファイルは情報として保持している。(2月4日付「パナム・ポスト」から引用)。

6月14日の世界献血デーの時は現在のキューバ最高評議会議長のミゲル・ディアス・カネル氏が献血に参加した市民に感謝のツイートを毎年送っている。しかし、輸血が商いになっているということは多くの市民には知らされていなかった。

しかし、その一方でその輸出で得た外貨を市民の為の医療の進展に充てるということは稀である。その大半はキューバの国家指導者の私腹を肥やすことに向かっているようだ。実際、キューバでコロナのワクチンが開発されてもそれを詰める小瓶が不足している。それを生産するための設備が不足しているからだ。また、病院でも医薬品は不足し医療備品もその多くが不足している状態にある。