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オフロードの走りの違いは?
街乗り、普段使いがしやすいのは?
オフロードの走りの違いは?

ジープ ラングラーとランドローバー ディフェンダーは、どちらも世界最高レベルのオフロード走破性を備えるモデル。だがクルマとしての構造は大きく異なる。
ラングラーは元祖ジープからの伝統である梯子型フレーム、リジッドアクスル、パートタイム式4WDなどの基本設計を踏襲し、いわば機械式のアナログな方法でそれを可能にしている。

いっぽう70年ぶりにフルモデルチェンジを受けたディフェンダーはアルミ製のモノコックボディ、四輪独立懸架の足回り、電子制御のフルタイム4WDシステムなど、最新の技術が投入された。

走破性の高さについてはどちらも長い歴史の中で育まれたもので甲乙つけ難いが、あえて比べるとすれば、どんな路面でもクルマ任せで走れてしまうのがディフェンダー、ハードな悪路ではドライバーの技量を要求するのがラングラーというところ。
ただし極限の悪条件に遭遇した際には、機構のシンプルさやドライバーの操る余地が残されているという点で、アナログなラングラーのほうが有利なこともあるかもしれない。

いっぽうディフェンダーは、高級SUV然とした外観からは想像できないほどのエクストリーム性能を備えている。
それを端的に表しているのが渡河性能。これは「どれぐらいの水深まで走行できるか」を示すスペックだが、ディフェンダーの場合はなんと最大渡河深度900mm。
つまり深さ90cmまでの川であればザブザブと渡れるということ。「川なんか渡らない」という人もいるだろうが、実は昨今、ゲリラ豪雨による水害が増えるなか、万が一のことを考えた場合、この渡河性能は重要なのだ。

もちろんラングラーも最大762mmの渡河性能を備えている。
街乗り、普段使いがしやすいのは?

いかに高い悪路走破性を備えたクロカン4WD車とはいえ、ふだん走るのはほとんどが舗装路だ。果たしてオンロードにおける乗り心地や街乗りでの使い勝手はどうだろうか?
ラングラーとディフェンダーは軍用または作業用として生まれた実用車。ゆえにもともと“乗り心地”などは考慮されていなかった。
しかし現在はどちらもそのタフさ、ワイルドさを売りにしたライフスタイルカーであり、十分に快適な乗り心地を実現している。

しかし2台を比べた場合、快適性という点では堅牢なモノコックボディにエアサス(110に標準装備)を備えたディフェンダーに軍配が上がる。

また室内の広さや荷室のユーティリティについてもディフェンダーにアドバンテージがある。
前述したように初代ジープ以来の伝統を頑なに守り続けるラングラーに対して、ディフェンダーは「本格オフロード性能を備えた高級SUV」であり、2台の差はコンセプトの違いによるものと言えるだろう。

しかし街中での使い勝手を考えた場合、ディフェンダーのそのゆとりある大きさがネックになる可能性もある。ロングボディの「110」は全長が約5m、全幅が約2mあり、込み合った街中では少々持て余すことがありそうだ。

対するラングラーは全長4.87m、全幅1.85mとディフェンダーに比べれば若干コンパクトで(とはいえ十分大きいのだが)、その四角いボディ形状の見切りのよさゆえ、サイズのわりに取り回しがいい。

燃費については、どちらも大きなボディ、ヘビー級の重量、四駆の走行抵抗などから、今どきのセダンやSUVのような数値は期待できない(WLTCモードで2Lガソリンエンジンのラングラーが10.0km/L、ディフェンダーが8.3km/L)。
はっきり言って燃費はこうしたクロカン4WDの泣きどころだ。
ただしディフェンダーにはディーゼルモデルがラインナップされるので、少しでも燃料代を節約したい人はそちらを選ぶという手もある。