目次
不動産投資の損益分岐点の計算方法
 ・10年後に売却、価格が10%下落した場合
不動産投資において損益分岐点で考える良い物件の条件
 ・空室・家賃下落リスクが低い物件
 ・災害に強い物件
 ・将来性の高い土地
不動産投資は損益分岐点を意識して行うこと

不動産投資の損益分岐点の計算方法

それでは実際に、不動産投資の損益分岐点を計算してみましょう。

不動産を購入するときは、現金で購入する場合と不動産投資ローンを使って購入する場合があります。今回は不動産投資ローンを使って購入したものとします。

【設定条件】

  • マンション価格:2,500万円
  • 借入金額:2,200万円
  • 借入期間:25年
  • 金利:2.2%
  • 毎月返済額:95,404円
  • 表面利回り:6%(家賃収入132万円 /年、11万円/月)
  • 購入時の諸費用:50万円
  • 年間の経費(管理費・修繕積立金・税金等):29万円
  • 売却時の諸費用:売却金額×5%

※家賃の変動や空室、その他の出費はないものと仮定

10年後に売却、価格が10%下落した場合

まずはマンションの売却額を含めた10年間の収入を算出します。

家賃収入は、2,500万円×6%×10(年間)=1,500万円

10年後に売却するとき価格が20%下落したと仮定すると、マンションの売却額は以下のようになります。

2,500万円-(2,500万円×20%)=2,000万円

したがって、10年間の総収入は以下の通りです。

家賃収入1,500万円+売却額2,000万円=3,500万円

次に、10年間の支出を求めます。
ローン返済額は以下の通りです。

95,404円×12(カ月)×10(年間)=1,144,8480円(以下1,145万円とします)

これに購入時の諸経費50万円と、売却時の諸経費「2,000万円×5%=100万円」および年間経費を加えます。

1,145万円+50万円+100万円+(29万円×10(年間))=1,585万円

ただし、ローンで購入しているため、残債を完済しなければなりません。

10年経過時点での残高は約1,543万円(15,429,182円)
よって、10年間の総支出は

1,585万円+1,543万円=3,128万円となり、
収支は、3,500万円-3,128万円=372万円 となります。

これにより、10年後に価格が20%下落しても損しないことがわかりました。黒字額が372万円なので、2,000万円-372万円=1,628万円で売却しても損しないということになります。これが10年後の損益分岐点です。

不動産投資において損益分岐点で考える良い物件の条件

それでは、損益分岐点から見た「良い物件」を考えてみましょう。つまり損益分岐点が低い位置にあり、利益を出しやすい物件です。不動産投資を成功させる秘訣は、不動産の資産価値を落とさず、継続的に家賃収入を得ることです。そうすれば、長期間にわたって安定した収入を得られます。

長い間、資産価値を保ち続けられるのは、「空室・家賃下落リスクが小さい物件」「災害に強い物件」「将来性の高い土地」といえるでしょう。

空室・家賃下落リスクが低い物件

まずは空室・家賃下落リスクが低い物件です。先ほどの「不動産投資の損益分岐点の計算方法」には、空室率や家賃下落率が含まれていません。そのため参考程度に認識してください。

空室・家賃下落のリスクが低い物件を見極める方法は、まずは過去の賃借人状況を確認することです。そうすれば、将来的な空室率・家賃下落率を予測できるでしょう。

もし新築なら過去のデータはないので、自分が長く住みたいと思う物件か?という視点で、物件をくまなくチェックしましょう。また周辺の競合物件の家賃を調べることも重要です。それにより適正家賃が見えてきます。

災害に強い物件

不動産投資を行う際、地震や火災など「災害が起こるリスク」を考えなければいけません。例えば、新耐震基準に沿って物件が建てられているか、もしくは新耐震基準をより強化した「2000年基準」に沿って建てられているか、などが挙げられます。また地盤の強度や水害への強さも、事前にチェックしたいところです。

将来性の高い土地

最後の条件はその土地の将来性が高いかどうか。言い換えると、将来的に価値が落ちにくい物件かどうかということです。不動産を長い間所有することを考えると、今現在の価値が高いことはいうまでもなく、将来の価値も見据えることが重要です。

そして、これらの物件や土地の運用に対して、真摯にアドバイスしてくれる不動産会社選びが何より重要です。不動産会社を選ぶ際は企業の規模に関係なく、不動産の管理について豊富なノウハウをもつ企業を選びましょう。

不動産投資は損益分岐点を意識して行うこと

不動産投資の成否は、損益分岐点への理解次第だといっても過言ではありません。損益分岐点を知ったうえで収益をきちんと上げられるような物件を選ぶことが重要です。信頼できる不動産会社を選び、損益分岐点を意識しながら二人三脚で不動産投資を進めていきましょう。

※本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な、不動産投資・ローン・税制等の制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。(株)GA technologiesにおいては、何ら責任を負うものではありません。

提供元・RENOSYマガジン

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