【木村ヒデノリのTech Magic #095】 今までいくつものコーヒーツールをレビューしてきた筆者だが、2022年になってようやく最適な組み合わせに辿り着いた。ハンドドリップを突き詰めていけばツールや技術の探究には終わりがない。しかし「毎日手軽に飲めて」という条件がつくと話が変わってくる。毎回ハンドドリップで淹れる時間が仕事の合間の気分転換になるという読者も多いとは思うが、今回はハンドドリップレベルのコーヒーを量産してリモートワークのQOLを劇的に向上させられるツールの組み合わせをお伝えしたい。



噂に違わぬ美味しさ、Balmuda The Brewが凄い
ドリップに使う機器で抜群に美味しかったのは「Balmuda The Brew」だ。筆者が購入したのは「STARBUCKS RESERVE LIMITED EDITION」だが、通常版との違いは個性のあるシングルオリジンの豆などに向いている点。お湯の量やタイミングなどが通常版と違うため、より豆の香りを引き出せるという。一方で浸す時間が長いため、品質の低い豆だと雑味が出やすいということだ。今回の目標である「自宅でお店のハンドドリップの味」を達成するには間違いなくSTARBUCKS EDITIONが良いだろう。

The Brewが他のコーヒーメーカーと大きく違うのはバイパス注湯をする点。業務用機には搭載されている機構らしいが、民生機には珍しい仕組みだ。4分の3くらいのお湯で抽出したコーヒーに直接お湯を注ぐ。これによってコーヒーが濃すぎず、クリアで飲みやすい味になるというのだ。
実際に飲んでみると味の良さは抜群で、自分がハンドドリップしたものと遜色ない。淹れられていく過程も見ることができるが、機械で入れているとは思えないほど綺麗に土手もでき、豆の良さを引き出してくれる。豆の量だけ気をつけなければならないが、深めの焙煎なら25g、浅めの焙煎なら30~35gを目安に淹れれば失敗はないだろう。

これで淹れればまず間違いなく美味しいコーヒーが飲めるが、試してみると焙煎方法と ミルでもかなり味わいが変わってきたので、今回はさらにミルと焙煎を詰めていきたい。
大幅に変わる味、高額なミルにはそれなりの価値がある
次にこだわりたいのはミルだ。以前C40のレビューの際にも書いたが、実はミルを変えるだけでコーヒーの味は劇的に変わる。安価でポピュラーなのは、陶器の臼のようになったタイプ。これでもコーヒーは粉になるが、雑味が出やすくなる。より豆本来の香りのみを抽出したいなら、コマンダンテのように鋭い刃で豆を「切る」ように挽けるミルがおすすめだ。


鋭い刃ならそれだけ粒子も均一になるし、微細な粉も含まれない。これによってコーヒーの味が非常にクリアになるのだ。1回毎に挽くことも酸化を防ぐ点で大いに意味がある。これに自家焙煎を組み合わせれば自宅でも驚くほど美味しいコーヒーが淹れられるので、高くて驚くと思うがコーヒー好きはミルに投資を惜しまない方が良いだろう。