不動産投資をしている方なら、確定申告で経費の申請を行っているでしょう。今回はその経費の中でも交通費について解説します。単年での金額はそれほど大きくなくても、長期で考えると無視できない金額になることもあります。ぜひ理解を深めてください。

目次
交通費の経理処理のポイント
 ・物件見学等の交通費や宿泊代は経費に計上
 ・具体的な記録を残すのがポイント
交通費を経費計上する際の注意点
 ・領収書が出ない公共交通機関を利用した時
 ・自家用車を私用と業務で使っている場合

交通費の経理処理のポイント

不動産投資をしている人であれば、物件の調査のために地方へ行ったり、弁護士との打ち合わせのために事務所まで出向くこともあるでしょう。そのような場合の宿泊費や交通費は、不動産経営に関係する部分は経費として認められます。

物件見学等の交通費や宿泊代は経費に計上

賃貸経営に直接関わる交通費や旅費は経費として計上できます。例えば、以下のような場合が考えられます。

  • 物件を見学する際の交通費
  • 調査のために宿泊する際の宿泊費
  • 地方の不動産経営セミナーに参加する際の交通費

この際、帰省を兼ねた移動であっても、物件見学の調査目的や調査を実施したことを、しっかりと示せる場合は、経費として認められると考えられます。

旅費交通費として計上できるもの

交通費

  • 電車代
  • タクシー代
  • バス代
  • ガソリン代
  • 駐車場代
  • 高速道路利用代

ちなみに交通違反の際の反則金はたとえ物件見学中であったとしても経費とは認められません。

旅費

  • 宿泊代

ただし、あくまでも不動産経営に直接関係している経費であることが大前提となります。帰省などのプライベートを兼ねる際に、経費として計上できるのは、事業に直接関係があると認められる範囲内ですので日程表を作るなどして不動産経営に関係している旅費とそうでないものに区分するなどの工夫が必要です。またSuicaなどのチャージ額をそのまま全額旅費交通費に計上するのはその具体的な使途がわからず税務上非常に危険です。

なお、海外旅行については国内旅行とでは往復航空券や滞在費の部分で違いがあるので注意が必要です。

具体的な記録を残すのがポイント

交通費や旅費として認められるには、事業に直接関係があるということと、実際にそれを行ったということの2点を証明する必要があります。そのため、出費に対して、できるだけ、領収書の収集のみならず、具体的な記録を残すことがポイントです。

例えば、物件調査の名目で、地方に泊まりがけの調査に行く場合は、以下のようなものを用意しておくといいでしょう。

  • 物件概要書:見学した物件の概要書
  • 調査したときの写真:実際に調査したことの証明になります
  • 不動産業者の名刺:不動産業者の案内があった場合は保管しておくと良いでしょう
  • 日程表:何日から何日までは仕事で、それ以外はプライベートなど

交通費を経費計上する際の注意点

不動産投資で交通費を経費計上するポイントと注意点
(画像=『RENOSYマガジン』より引用)

旅費交通費を経費として計上するとき具体的な記録を残すことが重要ですが、具体的な記録が出ない場合はどうすれば良いのでしょうか。

領収書が出ない公共交通機関を利用した時

例えば、電車やバスなど、公共交通機関を利用した場合、領収書は発行されません。そのような時は、利用交通機関や訪問先をExcelなどに逐一まとめ、運賃等を記録しておけば良いです。

自家用車を私用と業務で使っている場合

自家用車を私用と業務で使っている場合、区別がつきづらいですが、業務に必要な分だけを経費として計上できます。

業務にどれだけの割合を使ったのか、合理的に説明することがカギです。

例えば、自家用車の場合、走行距離の割合で説明できます。一定期間の中での走行距離が、業務用に50km、私用に50kmだった場合、ガソリン代や保険代、駐車場代は5割ずつにすることで、計上可能です。要は仕事部分とプライベート部分にしっかりと分けることが重要といえます。

駐車場に関しては、自宅マンションなどでかかる駐車場代に関しては半々になりますが、調査目的に訪れた駐車に関しては全額交通費として計上できます。