どうも腑に落ちないのがコロナの新規患者数。2月の初めにほぼ予想通りピークを迎えたまでは良かったのですが、そのあと思ったように減らないのです。新規感染者数は今や人口が3倍で対策に苦労したアメリカより多いというのはどういうことかうまく説明できません。韓国もいまだに増え続けています。日本より3度目の接種率ははるかに高いのに、です。どうも地域的に意地悪をするこのコロナ、今回は日韓がそのターゲットなのでしょうか?あぁ、止めてほしい。
では今週のつぶやきをお送りします。
軌道修正せざるを得ない景気先行きの見方
私はインフレ率はいづれ鎮静化するだろうと何度か申し上げました。しかし、それは時間と共に国家が破壊されつつあるウクライナ問題を前提としていなかったので見直しは必至です。最大の懸念は石油、資源、穀物など値動きで予想不可能なほどの価格上昇リスクで、吸収余力がある国と厳しい国が出てくるとみています。北米は前者、日本は後者になります。理由は賃金の硬直性が日本ははるかに高く、年金暮らしの高齢者にもダイレクトに響くからです。たとえは悪いですが、突然、消費税を更に10%課すようなもので収入に関係なく、誰にも均等に影響が出ます。その場合、通常の生活防衛は消費を切り詰めることになりますので企業業績が悪化し、スタグフレーションに陥りやすくなります。

石油価格についてはテクニカルにはもう尋常ではないレベルにあり、何らかのきっかけで急落する可能性が高いのですが、アメリカでは経済が正常化し、旅行を含む人の移動が普通になりガソリン需要も高くなっています。それよりさらに懸念されるのがベースメタルと称する資源でそれらの価格も天井知らずです。日本は商社株がこれで少し上昇しているようですが、あらゆる物資の買い負けが今後懸念されます。つまり価格が高いという話ではなく、そもそも日本にモノが入ってこないリスクです。そして先日も申し上げましたがいずれ生じるウクライナの復興需要は膨大になります。
本日発表されたアメリカの2月度雇用統計は予想をはるかに上回る67.8万人増で労働参加率も改善傾向が見られます。飲食やサービス業での雇用が大きく伸び、失業率は0.2%ポイント改善し3.8%とほぼ完全雇用の領域にあります。それでもどの業種、店舗も人材は足りません。ここカナダでも多くのファーストフードチェーンやコーヒーショップが店を閉じたままなのは人が全然集まらないためです。私どもの会社が入居するシェアオフィスも受付要員が不足し、マネージャーが「外国人労働者を雇う」というほど切羽詰まった状態です。仕事はあれど生活は苦しい、このアンバランス感の行方は当分見通せそうにありません。
なぜか注目されない日産 ケリー元役員の裁判
3月3日、日産の元代表取締役グレッグ ケリー氏の報酬記載事件で東京地裁の判決があり、執行猶予付きの有罪判決が下されました。しかし、内容的にも実質的にも検察側の負けのように見えます。またケリー氏は即日控訴しました。そもそもこの話、大半の方が理解をしていないと思います。ゴーン事件の当時、報道はケリー氏をゴーンの仲間内のような捉え方をし、日本側役員と距離を置いた点で自動車業界のリーダーの一社である日産経営陣の異様な姿を世界中にさらしたとも言えます。
本件は10-17年のゴーン氏の報酬の扱いの問題です。ご記憶の通りゴーン氏は当時、破格の報酬をもらっており、日本人の一般常識をはるかに超えたものでした。そのため、日産側は世間体を繕うため、開示すべき報酬金額を減らそうと未払い分の91億円を開示義務のある役員報酬に記載しなかったことが焦点です。これについて2010-16年分についてはケリー氏の関与が認められる証拠不十分で無罪。17年分のみ、その証拠らしきものがあったため、それを理由に有罪としました。これはかなりグレーにみえます。日産の日本人経営陣側に世論への「忖度」が働いたと思われ、それをアメリカ人のケリー氏が主導する理由は見いだせないのです。
事実、ケリー氏は退職後にコンサル料などとして正当な対価を払う方法などを提示したとされ、どう見ても実務を司ったのは司法取引をした大沼敏明元秘書室長である公算が高いのです。ゴーン氏は本判決に対してブルームバーグで日本の司法が稚拙であり、SECとは3か月で10万ドルの罰金でさっさと終わったのに日本はここまでで既に3年4か月もかかっている点なども指摘しています。日本は先日の名古屋入管での死亡事件を含め、役所、役人全体に日本の独自性が強すぎるように見えます。逃亡したゴーン氏がなぜ、あれだけのリスクを冒してまで逃亡したか、その背景はもう一度探る意味はあるかもしれません。