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思わず乗り回したくなるeバイクは大人の遊び道具
オフロードでこそ違いが分かるeバイクの性能

アウトドアフィールドでこそeバイクの真価が発揮される。ハイパフォーマンスに驚くeMTB(電動マウンテンバイク)試乗レポート
(画像=立ち漕ぎは不要。座ったままで山道をすいすい登れるeMTB、『男の隠れ家デジタル』より引用)

週末のレジャーとして、ロードバイクによる自転車ツーリングは根強い人気を誇る。また、コロナ禍になり通勤電車を避けて、自転車での通勤を選択する人も増えている。その背景にはスポーツバイクに電動アシストが付いた、いわゆるeバイクの存在が見逃せない。以前は電動アシストといえば、子ども乗せ自転車の独壇場だった。しかし、近年スポーツバイクやシティサイクルへの採用が進み、メンズライクなeバイクが多数登場。バッテリーとフレームと一体化したデザイン性の高いモデルも多く、男心をそそられるだろう。eバイクが自転車への回帰を牽引している一面があるのだ。

一方で、都会の舗装されたオンロードでは、eバイクが持つポテンシャルを存分に発揮しているとは言い難い。そこでeバイクの真の性能を体感するため、ドライブユニットやバッテリーなどの開発を手がけるボッシュが主催する試乗会に参加した。eバイクでアウトドアフィールドを駆け、実感した圧倒的なパワーと、大人の遊び道具としての可能性をレポートする。

思わず乗り回したくなるeバイクは大人の遊び道具

アウトドアフィールドでこそeバイクの真価が発揮される。ハイパフォーマンスに驚くeMTB(電動マウンテンバイク)試乗レポート
(画像=バッテリーがフレームと一体化しており、洗練されたデザインに(TREK Powerfly 5)、『男の隠れ家デジタル』より引用)

訪れたのは、富士山を望む山梨県の紅葉台。中央道の河口湖ICから本栖湖方面に車を走らせること、およそ15分の位置にある。西湖の南側の足和田山には、東京の「明治の森高尾国定公園」から大阪の「明治の森箕面国定公園」までを結ぶ、東海自然歩道が通っている。その一区間である、紅葉台レストハウスから五湖台に至るコースは、尾根を歩くため、景観がよい。またゆるやかに登るため、ハイカーに人気がある。このハイキングコースをeバイクで走行するというのだ。

用意されたeバイクは、TREK、cannondale、SCOTT、corratecの4ブランド、計6台。勾配がゆるい区間とはいえ、傾斜がキツい難所もある。トレッキングポールを手にしたハイカーが行き交う山道に準備されたeバイクは場違いな光景で、「自転車で登るなんて信じられない」といった表情で一様に足を止めていた。もちろん、ハイカーたちへの安全配慮を最優先に譲り合っての走行の中である。

最初にまたがったのは、アメリカの自転車ブランド「TREK」が誇る本格eMTBのRail 5だ。フルサスペンションで、フレームにはアルミニウムを採用している。そしてドライブユニットはボッシュの最新型だ。サドルを調整し、操作をレクチャーしてもらうが、記者たちはスタートを待ち切れずに周囲を一周して、勝手に乗り心地を試しはじめる。まさに遊び道具を買い与えてもらった子どものよう。案内役のトレイルアドベンチャーフジの岩間一成氏の先導で山道に入った。

オフロードでこそ違いが分かるeバイクの性能

アウトドアフィールドでこそeバイクの真価が発揮される。ハイパフォーマンスに驚くeMTB(電動マウンテンバイク)試乗レポート
(画像=通常の電動アシスト自転車と比べ、パワーロスが少ないのがeMTB、『男の隠れ家デジタル』より引用)

eバイクは、通常の電動アシスト自転車と異なり、スポーツ自転車と同様にリアセンター(クランクの軸からリアホイールまでの距離)が短く設計されている。そのため、パワーのロスが少なく、クイックでスポーティな走行が可能なのだ。しかもボッシュではeバイク用にドライブユニットを設計しており、よりリアセンターが詰まるような形状になっている。

それでも記者のような素人には、電源をオフにした状態では、オフロードの路面は不安定で、少しの傾斜でもペダルが重く感じてしまう。ただ、ひとたびアシストをオンにすれば、強烈な推進力で、するすると進んでいく。日頃の癖で傾斜に差し掛かると、ハンドルを握る手に力を入れてしまったが、拍子抜けするほどペダルが軽い。続けざまに明らかにキツそうな坂道が見えてきた。素人にはとてもじゃないが登れそうにない。eバイクに乗っていることを忘れて、思わず怖気付いた。

アウトドアフィールドでこそeバイクの真価が発揮される。ハイパフォーマンスに驚くeMTB(電動マウンテンバイク)試乗レポート
(画像=グリップを握ったまま親指で簡単に操作が可能だ、『男の隠れ家デジタル』より引用)

ライダーが加える力によってアシストの強弱を自動で調整、人の筋肉と一体化するアシストを実現するというeMTBモードにし、意を決して坂に突入する。最大駆動トルク85Nmというボッシュが誇るドライブユニット「Performance Line CX」が本領を発揮し、ペダルが軽いまま、どんどん進んでいく。またコントローラーが、手元で簡単に操作できるデザインになっているため、モードの切り替えもスムーズなのだ。傾斜の中腹に来ても、負荷をまったく感じない。もちろん漕ぎ続けなければ前に進まないため、息は切れる。しかし、坂を平地と同じ足取りで登っていくのだ。あっという間にひとつめの難所をクリアしていた。

続いてスイスに本社を構えるSCOTTのSCALE eRideに乗り換える。こちらもフロントにサスペンションがあり、ボッシュの最新型ドライブユニットを搭載している。小さな岩が転がる悪路に差し掛かっても、力強い推進力で足元を支えてくれる。上り坂で試しにアシストをオフにしてみた。すると、ペダルがピクリとも動かない。自転車で山道を登る無謀さを痛感した。再び、電源を入れると、命が吹き込まれたように、ペダルから胎動を感じる。早く漕ぎ出せと急かされているみたいだ。軽く足に力を込めると、強烈なサポートでSCALE eRideが前進しはじめた。

その後、TREK Rail 5の上位モデルRail 9.7や、ドイツのスポーツバイクブランド「corratec」のX-VERT CX、自転車業界のイノベーターとして知られる「cannondale」のTopstone Neo carbon Lefty 3などに乗り継ぎながら、五湖台までを走破した。