灰色になった漁港に潜る
水中の様子を撮影するために潜ったのは、国頭村の東海岸に位置する奥漁港と恩納村のダイヤモンドビーチ。最初に潜ったのは奥漁港。
奥漁港にはほとんど船は停泊していなかった。撤去作業が行われていないのか、広範囲に軽石が漂着していた。




エントリーすると透視度は1mほどで、広部氏のフィンを見ながらロストしないようについていくので精一杯だった。「ここまで透視度が悪いことはあまりないので、軽石の影響なのではないでしょうか」と広部氏は言う。
外から見ていると軽石は水面に浮いているだけかと思っていたが、水中にも無数の軽石が漂っている。泳いでいると顔に軽石が当たるのがわかる。

水面の軽石の層が厚いところへいくと真っ暗。まるでナイトダイビングだ。水底にはサンゴもあり、このまま光が当たらないことを考えると、光合成ができなくなり、成長に影響がでるのではないだろうか。



ダイヤモンドビーチは、旧瀬良垣漁港の隣からエントリー。この日はぱっと見軽石がそこまで浮いていないように見えたが、近づくと少なからず軽石が浮いているのがわかる。

ここで、軽石と同程度の大きさの、見たことのない魚が軽石と一緒に水面を漂っていることに気がついた。広部氏によると「おそらくアミモンガラの幼魚です。軽石と一緒に流れ着いて来たのでしょう」とのこと。「新しい生態系が生まれるでしょう」という広部氏だが、あまりの数に、私は不気味さを感じずにはいられなかった。

このポイントは透視度も悪くなく、サンゴやクマノミを探しながらファンダイビングも楽しむことができた。しかし、小さな軽石は至る所で見られる。このポイントを熟知する広部氏は「いつもより魚が少なかったですね。暗かったので夜と勘違いしているのでしょうか」と言っていた。


旧漁港の方まで行くと、奥漁港と同じく軽石の層が太陽をさえぎり真っ暗になっていた。

漁港やビーチ、水中の様子をお伝えさせていただいたが、実際のところ海の生き物や海洋環境にどういった影響が起こるのかはわからない。一方で見たことのない生き物が現れたり、サンゴへの太陽光が遮断されたりしているのは事実だ。最近では死んだ子ウミガメから大量の軽石が発見されたというニュースも。
自然の脅威に対しできることも限られ、もどかしさを感じるが、まずは多くの方に現状を知っていただけたらと思う。詳しくは広部氏の動画を観ていただき、少しでも多くの人に状況が伝わるようシェアをしていただけたら幸いだ。
提供元・oceanα
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