米軍は、東ヨーロッパのポーランドやルーマニアなどウクライナの周辺国に増派されているが、現時点では単なるポーズと言わざるを得ない。しかし、欧州各国(更に国連)がこのような形で、ウクライナを見捨てることは、後の

世に禍根を残すことになるはずだ。

私が心配するのは、中国の動向である。今回のウクライナ侵攻を見て、欧米が軍事的に動かないとなると、中国は内心、大喜びするだろう。台湾に侵攻しても、米国は動かない可能性が高まるからだ。北朝鮮も(韓国に侵攻した時、米国はどう出てくるか)ということを視野にウクライナの情勢を注視している可能性もある。私のこれらの想定が杞憂に終われば良いが、嫌な胸騒ぎがするのは私だけであろうか。

ウクライナ侵攻前後の状況を見ていて、思い出すのが、第二次世界大戦前夜の状勢である。当時、ヒトラー率いるナチスドイツは、オーストリア、チェコスロバキアのズデーテン地方などを次々と獲得していた。

しかし、イギリスやフランスは、全面戦争を恐れる余り、それらの国を犠牲にして、ナチスドイツの侵略をある意味、黙認していたのだ。その結果、何が起きたかというと、ナチスドイツの要求のエスカレートと、1939年9月1日のポーランド侵攻である。そして、ついに英仏の堪忍袋の緒が切れ、世界大戦へと突入していくのだ。今の各国の指導者が近現代史の冷厳な事実から最適解を導き出すことを希望する。

文・濱田 浩一郎/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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