筋発達

筋力を効率よく伸ばしていくには、目的の部位の拮抗筋を活性化することが大切だと多くの研究結果が示している。例えば、セット間の休憩の際に、拮抗筋をストレッチするだけでも対象筋の筋力増加に貢献するという研究結果もあることから、対象筋と拮抗関係にある筋肉を使うことはとても意味のあることなのだ。

ブラジルで行われた実験では、ロウイング種目のセット間の休憩時に、背中と拮抗関係にある胸筋をストレッチすることで背中の筋力に変化が見られるかどうかが調べられた(実験名は、セット間の休息時における拮抗部位の静的ストレッチが反復運動と筋肉活性化に及ぼす効果)。

実験の結果、シーテッドロウを1セット終えた後の休憩中に、40秒間の静的ストレッチを大胸筋に行うと、2セット目以降のシーテッドロウで限界に達するまでのレップ数が増加したのである。この実験の研究者たちは「胸筋の静的ストレッチが広背筋と上腕二頭筋を活性化させ、それがシーテッドロウの限界レップ数を増加させたのではないか」と結論づけた。拮抗筋をストレッチするだけでもいい結果が得られたならば、拮抗筋同士をスーパーセットにしたらもっと大きな効果が狙えるはずだ。

目的部位に負荷をかけて緊張させると、その拮抗筋は弛緩する。目的部位と拮抗筋をスーパーセットで刺激するということは、表と裏の筋肉を交互に緊張させたり弛緩させたりするということになる。緊張した筋肉を弛緩させることは疲労回復の促進になり、回復が早まればそれだけ筋発達反応も起きやすくなるはずだ。つまり、筋肥大と筋力の増加が顕著に起きることが期待できるわけだ。

複数の実験で、拮抗筋を刺激することで目的部位の筋出力レベルが増加するという結果が得られている(ショーエンフェルド、2011:グラビナー、1990)。また、実験の中には、スーパーセットを終えた後の被験者の体内テストステロンを測定したところ、生成量が増加したという結果を得たものもある。筋発達を目指すトレーニーにとってテストステロンの増加は非常に喜ばしいことである。

セット間の休憩をどう過ごすかはトレーニーの自由だが、じっと座って息が整うのを待つ時間がもったいないと思うなら、例えば背中のためのロウを1セット終えたら、軽い重量でベンチプレスを1セット行ってみよう。次回の胸のワークアウトでベンチプレスを行ったとき、使用重量が増加しているかもしれない。「トレーニング中はできるだけ休まない」そんな気構えを持つことは決してマイナスにはならない。セット間の休憩はじっと座って過ごさなければならないというわけではないのだ。1分1秒でも有効に使いたいなら拮抗筋の種目、ストレッチは大いにやるべきである。

目的部位と拮抗筋の種目をスーパーセットで行うやり方は、ミスターオリンピアのセルジオ・オリバーもよく実践していた。彼は、この方法でトレーニングを行うと疲労回復がいつもより早くなることを実感していたそうだ。

文・Jason Smithers, CSCS 翻訳・ゴンズプロダクション/提供元・FITNESS LOVE

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