目次
国内唯一の総煉瓦造りのドライドック「浦賀ドック」
浦賀の港を挟んで東西の神社が向かい合う「叶神社」
国内唯一の総煉瓦造りのドライドック「浦賀ドック」
浦賀ドックは、明治32(1899)年に建造されて平成15(2003)年に閉鎖されるまで、日本丸や海王丸をはじめ、青函連絡船や護衛艦などの船がこの造船所で建造され、修理やメンテナンスが行われてきました。
海に囲まれた日本には各地にドックがありますが、レンガ造りのドライドックを見られるのは国内で唯一ここだけです。
令和3(2021)年にドックを含む周辺部について住友重機械工業株式会社から横須賀市に寄付されて実証実験期間の2021年10月23日~2022年1月23日に一般公開されたタイミングで見学することができました。(ただし、ドックの下まで降りられるのは見学ツアー等の参加者のみです。)

ドック入口にある看板には、横須賀市制70周年を記念して横須賀風物百選に選定されたことやドックの成り立ちについての案内が書かれています。

ドック上部から内部を見下ろしました。約215万個のフランス積み煉瓦が三方向を取り囲んでいる姿は圧巻でした。
横須賀市ホームページによりますと、ドックの規模は「長さ:渠底180.3m、幅:渠口下部25.7m、深さ:渠口底中央10.9m」です。

底部に降りると、水を抜いた状態の時に入渠している艦船を載せる盤木(ばんぎ)が整然と並べられています。土台に丸い穴が開いていますが、こちら側の土台から反対側の端の土台まで丸い穴を通して見渡すことができました。
ちなみに、写真の盤木はこのドックで最後に整備された東京湾フェリー「しらはま丸」の船体を支えていた配置のままとのことでした。

整然と積み上げられたレンガを見上げます。ここ浦賀ドックはフランス積みですが、フランス積みの他にイギリス積みがあります。フランス積みとイギリス積みは、工法が違うのはもちろんですが、見た目の美しさや施工された年代の違いもあるようです。

海に面した方向から見たドック。手前はレンガ積みではなく、コンクリートで固められています。竣工当初より取り扱う艦船が大きくなったため拡張した形跡です。

浦賀ドックには何基ものクレーンがありました。こちらは、昭和20年から活躍をしていたクレーンが残されたものです。
今から1世紀以上昔の日本が、倒幕から明治維新を経て、欧米列強に追いつけ追い越せと熱気に満ちた時代の名残を感じさせてくれる遺構でした。このドックの見学は、伊藤博文や井上馨が国禁を破って英国に密航し、日本の近代化の礎を気づいた長州藩士の書籍を読むきっかけになりました。浦賀ドックは文明開化の熱き躍動を想像させるロマンにあふれるところだと思います。
浦賀ドック
- 住所:横須賀市浦賀4-7
- アクセス :京急線・浦賀駅から徒歩10分
※公開日や見学方法などの詳細は、HPでご確認ください。
浦賀の港を挟んで東西の神社が向かい合う「叶神社」
浦賀の港を挟み、東西の叶神社(かのうじんじゃ)が向かい合って位置しています。
東叶神社には井戸があり、勝海舟が咸臨丸での太平洋横断前に、この井戸で水垢離をした後、明神山山頂で断食をしたと伝えられています。
西叶神社の拝殿の格天井には、当時の日本には渡来していないとされる花や鳥のほか、棟木を支える力神の彫刻が施されています。
西叶神社の狛犬は、いずれも口を開けた「阿(あ)形」、東叶神社の狛犬は、左右とも口を閉じた「吽(ん)形」に見え、東西で一対になっているという説があります。
東西叶神社はパワースポットとしても知られており、西叶神社の勾玉を東叶神社のお守り袋に納めて身につけていると、恋愛をはじめとした良縁を結ぶといわれていて、参拝者が絶え間なく訪れていました。





東叶神社
- 住所:横須賀市東浦賀2-21-25
- アクセス:京急線・浦賀駅より鴨居方面行きバス「かもめ団地行」「観音崎行」他(約5分)「新町」バス停下車、徒歩5分


<西叶神社の狛犬>

<西叶神社 本殿>
西叶神社
- 住所:横須賀市西浦賀1-1-13
- アクセス:京急線・浦賀駅からバス「久里浜駅行」(約5分)「紺屋町」バス停下車、徒歩1分