2020年6月8日にトヨタRAV4にプラグインハイブリッドモデルである「RAV4 PHV」が追加されました。RAV4 PHVは、
システム最高出力1225kW(306PS)というパワーを持ち、0-100km/h加速6.0秒という圧倒的な加速性能を持っています。また、EV走行は95kmまで可能で、ハイブリッド走行を加え、航続距離は、1,300km以上とこれまた圧倒的な性能を保持しています。こんな優れたRAV4 PHVならばと注目度が大きくなり、受注停止状態へ。しかし、プラグインハイブリッド車とは?電気自動車とは?こんな素朴な疑問を考えながら、トヨタ RAV4 PHVを徹底解説していきます。
*現在は、トヨタ RAV4 PHVの注文は受け付けておらず、今後の注文再開にはトヨタHPにてお知らせするそうです。
目次
電気自動車の普及にはまだ時間がかかる?
トヨタ RAV4 PHVのようなプラグインハイブリッド車は現実的なチョイス
電気自動車の普及にはまだ時間がかかる?
プラグインハイブリッドカーは、今の段階では、効率を求めたエコカーの現実的な最適解といえるだろう。
これから先は電気(EV)が増えていくという説に異論はない。しかし、その伸びは一般的に思われているよりもずっと緩やかなはずだ。なぜならウィークポイントが少なくないからである。
まず値段が高い。その理由は大きなバッテリー(現在の技術では航続距離を伸ばそうとすればするほど大きなバッテリーの搭載が必要だ)が必要で、しかもバッテリーは単価が高い。電気自動車の価格が高いのはそのバッテリーが理由だ。
なかには「生産数が増えればコストダウンが進むのでは」と考える人もいるだろう。しかし筆者がバッテリーメーカーなどを取材した結果としていえるのは「話はそう簡単ではない」ということ。
原料として希少な素材を使うことが価格を押し上げている理由のひとつで「しかも需要が高まるにつれて希少素材の奪い合いとなり価格が大きく下がる見込みはない」という。
電気自動車の価格が下がるのは、いま主流のリチウムイオン電池ではなく新たな構造のバッテリーが実用化される必要があるなどまだまだ先となりそうだ。
また、燃料を足せば走るガソリン車やディーゼル車、そしてハイブリッドカーと違って絵電気自動車は航続距離にも不安がある。……というと「テスラ『モデルS』や日産『アリア』の上位モデルなら600キロ以上走る」という人もいるだろう。たしかにそうだが、たとえ航続距離を伸ばせたとしてもそれだけの大電力を充電するのは容易なことではない。一般的な急速充電器では、短時間にそれだけの電気をクルマへ充電できないのが現実だ。
さらに、マンションなど集合住宅に住む多くの人は自宅で充電する術がないのも厳しい現実。自宅で充電できないのに電気自動車持つ急速充電器ありきの所有は不可能ではないが、手間を考えるとあまりスマートな方法とはいえない。今後、電気自動車が増えるにつれて急速充電器の奪い合いが起きないとも限らない。
以上の理由から、電気自動車の普及はハードルが高い。新聞などメディアでは「すぐに電気自動車の時代が来る」的な論調になることもあるが、そう言っている人には「ではあなたが次に買うクルマは電気自動車ですよね?」と質問してみたいところだ。
トヨタ RAV4 PHVのようなプラグインハイブリッド車は現実的なチョイス
というわけで冒頭に戻るのだが、プラグインハイブリッドカーが現実的と言える理由は、そういった電気自動車のネガがないからである。プラグインハイブリッドカーとは大きめのバッテリーを積んで外部から充電可能なハイブリッドカーのことだが、燃料さえ補充すれば外部充電しなくても走り続けられるので充電や航続距離の不安は一切ない。自宅に充電設備がなくても問題ない(あればなおさらよいが)。しかも大きめのバッテリーと言っても電気自動車に比べれば小さく、車両価格も安い。
いっぽうで自宅に充電設備があるのなら、日常の生活範囲であれば、バッテリーを充電することで「EV走行」としてエンジンを掛けずに走れるから、電気自動車のような使い方もできる。プラグインハイブリッドカーは、ハイブリッドカーと電気自動車のいいとこどりだから、現実的なのだ。
トヨタは、2011年よりPHV仕様のプリウスを生産・販売している
しかし、そんないいことずくめのプラグインハイブリッドカーがこれまで大ヒットしないのには理由があった。価格に見合うだけのメリットを感じられないことだ。たとえばトヨタには「プリウスPHV」というプラグインハイブリッドカーがあるけれど、思うようには売れていない。
その最大の理由は「普通のプリウスで充分。余分にお金を出してプラグインハイブリッドカーを選ぶ必要を感じない。別にEV走行なんてできなくてもいい」というもの。確かに納得だ。