不動産投資の失敗の定義は「トータルで赤字になること」。つまり「トータルで黒字」になれば成功です。物件売却までを視野にいれた、30年、40年という長期間に及ぶトータルで利益が出たかどうか、プラスになるかどうかで成功か失敗かを判断します。
この記事では不動産投資の7つの失敗事例と失敗する人の3つの共通点、そして成功に導く4つの方法を紹介します。
目次
不動産投資の失敗とは
・失敗はトータルで赤字になること
・運用中の赤字=投資の失敗ではない
不動産投資の7つの失敗事例
・不動産投資の失敗例1:不動産会社の言うことを鵜呑みにしてしまった
・不動産投資の失敗例2:都合のいい予測を立ててしまった
・不動産投資の失敗例3:運用目的を見失い、物件選定を誤った
・不動産投資の失敗例4:利回りだけをみて予想外の出費がかさんだ
・不動産投資の失敗例5:マンション一棟に投資、想定していなかった入居者により費用がかかった
・不動産投資の失敗例6:社会人になって間もなく不動産投資して失敗した
・不動産投資の失敗例7:節税しようとして失敗
不動産投資の失敗とは
失敗はトータルで赤字になること
不動産投資の失敗の定義は「トータルで赤字になること」です。
バブル期のように、物件の値上がりを狙った短期運用ではなく、本記事では長期保有を前提に考えます。まず投資用の不動産物件を購入するために、不動産投資ローンと言われる融資を金融機関で組みます。借入れの返済には、自己資金ではなく入居者からの家賃収入で返済をしていきます。
返済期間は、長いと35年、中には45年の商品もありますが、ローン完済後は家賃収入が利益となります。物件売却までを視野にいれた、30年、40年という長期間に及ぶトータルで利益が出たかどうか、プラスになるかどうかで成功か失敗かを判断します。
融資を受けて不動産投資をする場合には、月々のローン返済が家賃収入を上回らないように返済計画を立てます。しかし、当初予定していた入居率を下回る結果になると、それまで貯めていた家賃収入など自己資金から返済をしていくことになるのです。
さらに入居率が向上しない状況が続くと、家賃収入の貯蓄が底をついてしまうため、毎月の給与を返済に回していかなくてはなりません。最悪のケースでは、赤字が大きくなりすぎてしまい、自己破産に至ってしまうなどの事態も考えられます。ここまで事態が悪化すると、長期間保有することも叶わず「失敗」となってしまいます。
運用中の赤字=投資の失敗ではない
注意したいのは、多くの方が「運用中の赤字=投資の失敗」と思い込んでいる点です。
不動産投資でいえば、家賃収入からローンの返済や諸経費を差し引いたキャッシュフローが赤字になっているからといって、失敗とはなりません。たとえ運用中の家賃収入ではほとんど利益が出なくても、それでローン残債が減り、売却時に黒字転換するならば、その投資は成功です。
不動産投資における失敗は以下2つのケースです。
- 家賃収入では黒字、売却時にトータルで赤字
- 家賃収入も売却時も赤字
なかには、「トータルで赤字でも節税効果があるからよい」という考えの方がいますが、損することを前提にした投資はあり得ません。「儲けてこその投資」という考え方が原則です。
不動産投資の7つの失敗事例
不動産投資をする人が起こしがちな失敗例について見ていきましょう。
不動産投資の失敗例1:不動産会社の言うことを鵜呑みにしてしまった
失敗例1
「都心でそう簡単には手に入らない良質物件が売りに出た」と不動産会社に言われたAさん。築年数が古いなどの気になる点はあったものの、他の人に買われる前にと慌てて購入しました。運用が始まったものの、やはり当初懸念していた築年数が古いことから、修繕費などの支出ばかりで、家賃収益がほとんど得られませんでした。
不動産会社は、物件の管理手数料だけでなく、売買をする際の不動産仲介によっても利益を得ています。そのため、売却希望者と購入希望者をマッチングさせるために、良い情報のみを提供する場合があるので注意が必要です。
「なぜそんな良質物件が売りに出ているの?」と情報を鵜呑みにせずに、冷静に判断することが重要と言えるでしょう。
不動産投資の失敗例2:都合のいい予測を立ててしまった
失敗例2
「空室が多いものの、オリンピック特需で今が買い時!」と不動産投資の営業マンに勧められたBさん。確かに今は空室が多いですが、「オリンピック特需は間違いなく来るし、高く売却すれば問題ない」と購入を決意。しかし、オリンピック特需は賃貸まで波及せず、特に恩恵が得られませんでした。
この場合は、理想が大きすぎて現実を見られなくなってしまう、甘い予測が原因でしょう。自分にとって都合の良い予測ばかりして、冷静に判断できなくならないように注意することが重要です。
不動産投資の失敗例3:運用目的を見失い、物件選定を誤った
失敗例3
老後の個人年金代わりになればと、投資物件を探していたCさん。もともとは区分ワンルームマンションで探していたものの、相場よりかなり安い値段で一棟物件が出たことで、この物件を購入。結局、空室問題を解決できず、購入価格より安く物件を手放さなければいけなくなりました。
不動産投資における物件選定は、株式投資においてどの株式を運用するか決めるのと同様、運用が成功するかどうかのカギを握る重要な要素です。
運用目的に合っているかどうかもしっかりと検討しましょう。今回のケースであれば、老後資金を補充するために、安定した家賃収入を得たいなら、ハイリスクな一棟投資ではなく区分投資をしておくべきだったでしょう。
一度購入してしまうと、不動産は流動性が高くないため「思っていたのと違うから次」というわけにはいきません。よく考えてから購入することが重要です。
不動産投資の失敗例4:利回りだけをみて予想外の出費がかさんだ
失敗例4
県境にある、最寄駅から徒歩20分、築8年で20m2の築浅ワンルームマンションを1,000万で購入したDさん。購入当時の月々の家賃収入は65,000円。利回り7.8%です。しかし半年後に空室が発生。引越シーズンの閑散期とも重なり、その後7ヶ月も入居者が見つかりませんでした。この年は利回り2.6%になってしまい、ローンの返済も給与からの持ち出しとなってしまいました。
不動産投資は安定した家賃収入が魅力ではあるものの、空室が生じると肝心の家賃収入が得られなくなってしまいます。
例えば、アパートを1棟購入して運用して、80%ぐらいの稼働率を想定していたとします。ところが、60%、50%とどんどん稼働率が低下してしまう場合があるとします。そうなってくると、返済計画に支障が生じ始めてしまいます。
また、ワンルームマンションを購入して運用していたところ、なかなか入居者が現れないというケースもあります。
アパート1棟とは違い初期投資は小さいものの、家賃収入が0になってしまうので、このケースも返済計画に大きな影響を与えてしまう失敗例と言えるでしょう。
不動産投資の失敗例5:マンション一棟に投資、想定していなかった入居者により費用がかかった
失敗例5
マンション1棟を経営するEさん。さまざまなタイプの入居者がおり、その中の1人が事件に関与し突然退去しました。その後入居者とは連絡がとれなくなってしまい、家賃の他、クリーニング代などの請求もできなくなってしまったそうです。Eさんが代わりに支払う形となってしまいました。
しっかり物件選びをしていても、自分ではどうにもできない事態に巻き込まれてしまう可能性もあります。
例えば、家賃滞納の場合は、満室状態で運営できていたとしても、実際は空室と同じ状態なので大きな痛手です。また、安定した運用が続いていたにもかかわらず、自分の物件で不幸な出来事が起き、事故物件になってしまうといった失敗例もあります。
このようなケースは少ないとはいえ、いつどのタイミングで発生するか分かりません。日頃から万が一に備えておくことが大切です。
またもしそのような失敗の状態に遭遇しても、対策をして成功に繋げる方法もあります。
不動産投資の失敗例6:社会人になって間もなく不動産投資して失敗した
失敗例6
社会人となって2年目。会社の先輩から不動産投資の話を聞き、自分も早くはじめて「資産形成したい」と思ったFさん。しかし銀行からは、勤続年数が短いという理由でローン審査が通らないと断られます。ただし頭金を数百万入れるのならば融資できると言われました。
とにかく「資産形成」と焦ったFさんは、親から数百万を借金し、さらに想定していたよりも高めに設定された金利で不動産投資ローンを組んで始めました。毎月の返済額は家賃収入よりも多く赤字が続き、生活に余裕がなくなる事態に。
冷静になって考えると、あと数年待てば金利も安くなったし、親からの借金もせず頭金なしでローン審査が降りたので、焦って始めたことを後悔しました。
不動産投資の失敗例7:節税しようとして失敗
失敗例7
節税というキーワードに魅力を感じて不動産投資を始めたGさん。しかし節税とはつまり「赤字」になるということ。所得税の還付を10万円受けたけれど、不動産投資のマイナス分を給与で得た収入から補うことになることは想定していませんでした。
この失敗例は、本末転倒な考え方で始めたが故の失敗です。区分マンション投資は、初年度は赤字になったとしても、その後も継続して赤字が出続けることは考えにくいです。納税前提で、長期間で収益がでる物件かどうかシミュレーションをした上でリスクも想定し、物件の特性を把握した上で投資するかどうかを判断すれば、物件を複数展開するなど、リスク回避の方法があります。