ウクライナからこれまで600万人が国を離れた
また産業面についても西ヨーロッパに加わることによって自国の産業発展を図ろうとした。特にソビエト時代に軍需産業の中枢部を支配していたウクライナはその技術が西ヨーロッパで受け入れられると期待した。
しかし、国家の統一は容易ではなく、事態は複雑な展開を見せ逆に経済的に後退を余儀なくさせられるようになっていた。それを如実に示すかのように、現在までウクライナから職を求めてポーランドやロシアに移民する人が後を絶たなくなって行った。人口4400万人のウクライナからこれまで600万人以上が職場を求めて国を離れて行った。
プーチンのソビエト復活への野望
また、2000年に政権に就いたプーチン大統領が嘗てのソビエトの復活を目論んで領土の拡張に向かって進んで行った。その中でも最も重要なのがウクライナのロシアへの領土復帰である。仮に、今回ウクライナ全域をロシアに復帰できないと判断した場合でも、親ロシア派のルガンスク州とドネツク州はロシア領土にするであろう。それがまたプーチン氏が国内で面子を失わず大統領として君臨を継続するための条件である。
中国が台湾を奪還すべく静観
この動きを注意深く観察しているのが中国である。台湾を奪回するためである。プーチン氏は習主席に逐一ウクライナとの展開状況を伝えているという。中国が気になるのは米国の動きである。果たして米国がこの先6年間に台湾を防衛するのに強固な意志をもっているかということである。
ウクライナの場合と異なり、台湾の防衛については米国とは台湾関係法を基に台湾を防衛するための軍事行動の選択肢を米国は保有している。しかし、気になるのは台湾の防衛を保障するものではないとなっていることである。
また米国、日本、オーストラリア、インドの4ヶ国が中国を牽制してクアッドを創設したが、果たしてこの同盟関係が実際に中国が台湾への侵攻を開始するような事態になった時に台湾を守り切れるのかという疑問もある。また、EUの主要国が台湾の中国からの侵攻を前にどこまで強気で協力するのか疑問である。
何しろ、今回のウクライナ紛争においてEUは統一した外交姿勢を取れないでいるからだ。EUの外相であるスペイン人ボレイル外務・安全保障政策上級代表の存在は全く薄いものになっていることでそれが窺われる。
中国の台湾への侵攻には勿論背後からロシアが中国を支援するのは明白である。
文・白石 和幸/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
【関連記事】
・「お金くばりおじさん」を批判する「何もしないおじさん」
・大人の発達障害検査をしに行った時の話
・反原発国はオーストリアに続け?
・SNSが「凶器」となった歴史:『炎上するバカさせるバカ』
・強迫的に縁起をかついではいませんか?