モロッコは米国とは別に中国に接近

米国とモロッコの深い関係にも拘わらず、中国のモロッコへの積極的な進出を望んでムハンマド6世は2016年に北京を訪問。双方で合意が交わされ、その内容が昨年1月の人民大会で承認された。そして今年1月5日にラバトと北京との間でテレビ会談が行われナセル・ブリタ外相と改革・発展委員会のNing Jizhe(宁吉喆)副委員長との間で最終的に合意が確認された。

それに先駆けて、ムハンマド6 世が北京を訪問した同年に国王は中国からの関心を誘うべくタンジールに200ヘクタールの工場団地を建設した。そこには中国から航空、繊維、自動車、電子という4つの部門で中国から200社余りを招聘する狙いがあった。しかし、このプロジェクトは現在まで進展はない。

しかし、新たな両国の合意によって立案されているのは現在あるタンジールからカサブランカまで伸びている高速列車をマラケシュまで延長させることだ。更に、中国が関心をもっているのは液化天然ガスのターミナルを建設することである。というのも、アルジェリアはスペインと直接結ぶガスパイプラインだけにし、モロッコ経由のガスパイプラインを昨年10月に停止したからである。

また両国の貿易取引は最近5年間で50%の進展を見せ、観光客は2015年の1万人から2018年には20万人まで増加している。(以上、1月14日付「エル・パイス」から引用)。

アルジェリアと中国の親密な関係

一方の中国は既にアルジェリアとは強い絆をもっている。例えば、2016年1月に中国の2社とアルジェリアで最大の港を首都アルジェから70キロはなれたシェルジェルに建設することで合意したということ。中国はシェルジェルの港をスエズ運河から大西洋に向かうのに西アフリカ並びに北ヨーロッパ市場への足掛かりの港にしたい意向をもっているそうだ。

前述した中国の2社は2013年にもアルジェで規模においてメディナとメッカに次ぐ3番目の位置するメスキータの建設を請け負った同じ企業だ。建設費用は10億ユーロ、12万人を収容でき、270メートルの尖塔ミナレットがある大聖堂だ。

また中国は1400人を収容できるオペラ劇場をアルジェリア政府に寄贈もしている。その建設費用は2800万ユーロとされ、建材は中国から持って来て、作業員も中国人を使った。この寄贈によって中国はアルジェリアから何を得たのかということはミステリーとされている。これを機縁に現在アルジェリアには3万5000人の中国人が在住しているという。(2016年1月31日付「エル・パイス」から引用)。