「NATO」とは?発足したのは1949年4月

NATOとは「北大西洋条約機構(North Atlantic Treaty Organization)」のことで、北米(アメリカ・カナダ)と欧州各国による軍事同盟だ。発足したのは1949年4月で、現在30ヵ国が加盟している。主な目的は「集団防衛」「危機管理」「協調的安全保障」だ。

ソビエト連邦が1991年に崩壊した後、旧ソ連から独立した国の中からNATOに加盟する国が出てきた。エストニアとラトビア、リトアニアだ。旧ソ連の宗主国だったロシアとしては、旧ソ連諸国のこのような動きを警戒していた。

<NATOの加盟国一覧(12ヵ国の原加盟国以下、加盟国順)>
・アイスランド
・アメリカ合衆国
・イタリア
・英国
・オランダ
・カナダ
・デンマーク
・ノルウェー
・フランス
・ベルギー
・ポルトガル
・ルクセンブルク
・ギリシャ
・トルコ
・ドイツ
・スペイン
・チェコ
・ハンガリー
・ポーランド
・エストニア(旧ソ連)
・スロバキア
・スロベニア
・ブルガリア
・ラトビア(旧ソ連)
・リトアニア(旧ソ連)
・ルーマニア
・アルバニア
・クロアチア
・モンテネグロ
・北マケドニア

これらの国々がNATOに加盟することで、結果としてアメリカや欧州の軍事同盟の勢力がロシアに迫ってくることになるからだ。現在ロシアはウクライナのNATO入りを警戒しており、それを防ぐためにウクライナに対して軍事圧力をかけている。

これまでにNATOはウクライナの他、ジョージア(旧グルジア)が加盟を希望していることも認めている。ジョージアも旧ソ連国だ。

ウクライナ大統領「NATOへの加盟を目指す」と明言

ウクライナのゼレンスキー大統領はNATO加盟を目指すことを明言しているが、戦争を回避するためにはNATO加盟を断念せざると得ないのでは、との声も出ている。

しかしウクライナにとっては、それは独立国として自ら選ぼうとしている道を断念することになるため、大統領はこれまでの姿勢を崩していない。

現在は「対話」での解決に向け、欧米各国の首相や外相レベルで会談の場がたびたび持たれているが、解決の方向に向かっているとは言い難い状況だ。

ウクライナへの軍事侵攻が起きたらどうなるのか

今後ロシアがウクライナに軍事侵攻を行った場合、ウクライナ側で多数の死傷者が出ることが予想され、それに加えて経済的な混乱が起きることはほぼ確実だ。

ロシアが軍事侵攻を行った場合、アメリカのバイデン大統領はロシアに対する制裁措置として、ロシアの主要銀行によるドル取引を凍結することを検討している。ロシアにとっては大打撃となるが、ロシアの主要銀行と取引する非ロシア系企業も影響を受ける。

また戦争が始まると、天然ガスの産出国であるロシアは欧州各国への天然ガスの供給をストップする可能性がある。欧州とロシアは天然ガスの「買い手」と「売り手」の関係だ。この関係が崩れると、欧州はロシアから必要な天然ガスを調達できなくなる。

ロシア側も天然ガスの売り先を一時的に失うことになるため、この状況が長く続くことは欧州にとってもロシアにとっても好ましいものではない。仮に戦争が起きて一時的に供給が止まっても、いずれは妥協点を探って供給が再開されることになるだろう。

ロシアが警戒するNATO勢力の拡大

ロシア・ウクライナ情勢の緊迫感が増す中、アメリカや欧州各国、そして日本政府もウクライナに滞在する自国民の退避を呼び掛けている。軍事侵攻の可能性があった2月16日は何も起こらなかったが、何が火種となって戦争が始まるかはわからない。

しばらくは情報を注視するしかないが、ロシア・ウクライナ問題の根底にはロシアがNATO勢力の拡大を警戒していることがあるということだ。このことを理解すれば、ロシア・ウクライナ問題のニュースを読み解きやすくなるだろう。