公務員の副業は副業規定で禁止されていますが、一定の条件を満たした場合は不動産投資も可能だということをご存知ですか? 加えて、公務員は一般的なサラリーマンよりも不動産投資に向いている職業なのです。その理由や公務員が不動産投資できる条件・注意点を詳しく解説します。
目次
公務員が不動産投資に向いている理由
公務員が不動産投資できる3つの条件
・一定規模以下であること
・年間の家賃収入が500万円未満であること
・管理会社に管理を委託すること
公務員が不動産投資に向いている理由
公務員が不動産投資に向いている理由は、ローンの組みやすさです。
公務員は収入が安定していて、金融機関から返済能力が高いとみなされます。金融機関がローン審査を行う上でみるポイントは、年齢や勤務先、年収といった属性と呼ばれる基準です。
安定した収入が見込め、社会的信用も高い公務員は与信(信用の供与)が高く、「融資を受けやすい」「低金利での借り入れがしやすい」といった恩恵を受けられる場合があります。
また、本業との両立のしやすさも、公務員が不動産投資に向いている理由です。不動産投資物件を購入後は、実際には入居者の募集や契約手続きといったさまざまな業務が発生します。この賃貸管理の業務を管理会社に委託することで不動産投資にかける手間はほぼなくなります。時間や手間も省けるため、本業に支障を出すことなく不動産投資を行うことが可能です。
公務員が不動産投資できる3つの条件
公務員の副業(兼業)に関しては、国家公務員法(第103条、第104条)と地方公務員法(第38条)にルールがあります。
第百三条(私企業からの隔離)
職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。
引用:国家公務員法第103条|e-Gov法令検索
第百四条(他の事業又は事務の関与制限)
職員が報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する。
引用:国家公務員法第103条|e-Gov法令検索
第三十八条 職員は、任命権者の許可を受けなければ、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下この項及び次条第一項において「営利企業」という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。ただし、非常勤職員(短時間勤務の職を占める職員及び第二十二条の二第一項第二号に掲げる職員を除く。)については、この限りでない。
引用:地方公務員法第38条|e-Gov法令検索
この規定の中に、不動産に関する言及があり、一定の規模以上の不動産等賃貸、太陽光電気の販売、農業等は「自営」に該当するとされ、所轄庁等の長の許可を得ることが必要となっています。
一定の規模に満たない内容、以下の内容を満たせば許可なく不動産投資が可能です(自治体によっては、独自の規定を設けている場合もあります)。
一定規模以下であること
公務員が不動産投資をする際、たとえば区分のアパート・マンションなら9室以下であれば規定に抵触しません。
年間の家賃収入が500万円未満であること
物件数だけでなく、年間の家賃収入が500万円未満である必要もあります。
たとえば、家賃月額6万円で入居が見込める区分マンションの場合、
- 5室所有すると360万円(6万円 × 5室 × 12カ月)
- 6室所有すると432万円(6万円 × 6室 × 12カ月)
- 7室所有すると504万円(6万円 × 7室 × 12カ月)
となり、7室所有した場合は副業とみなされてしまうため、上記の場合は6室以内にとどめなければなりません。
管理会社に管理を委託すること
公務員は入居者募集や契約手続きといった管理業務を、管理会社に委託することが必須となります。自身で管理業務を行ってしまうと業務量が増え、本業に支障をきたすとみなされるためです。
ただし、公務員以外の方が不動産投資を行う場合にも、管理業務を管理会社に委託するのが一般的なため、管理の委託は公務員に限った話ではありません。管理会社への委託費はもちろん発生しますが、時間も手間も大幅に節約できることを考えると、メリットの方が大きいといえるでしょう。