目次
確定申告をしない場合の4つのリスク
確定申告を忘れたときの対処方法

確定申告をしない場合の4つのリスク

ここまで確定申告が必要な人/不要な人について解説しました。

ここで気になるのが「確定申告の義務がある人が、無申告で過ごしてしまった場合どうなるのか?」でしょう。以下でかんたんに解説します。

リスク1. 刑罰が課せられる場合がある

納税義務があるフリーランスが確定申告をしなかった場合、それは「脱税(ほ脱)」にあたります。

故意に確定申告をせず脱税したとき、「5年以下の懲役もしくは最大500万円以下の罰金、または、その両方」が課されるのです。

国税庁公表の「令和元年度 査察調査の概要」によると、令和元年度は無申告ほ税事案において、過去5年で最多の 27件の告発がされたそう。また「令和2年度 査察調査の概要」によると、無申告事案の取り締まりを強化していると報告されています。

リスク2. 納税額が増える

納税義務があるフリーランスが確定申告をしないと、のちのち納税額が増えるリスクがあります。

具体的には、「無申告加算税」や「延滞税」が追加で求められます。

税金の種類 課せられるケース 詳細
無申告加算税 期限までに確定申告書を提出しなかったとき ■納税額が50万円以下:納税額の15%

例:納税額40万円のとき
40万円×1.15
=46万円

■納税額が50万円以上:50万円との差額の20%

例:納税額60万円のとき
(60万円-50万円)×0.2+60万円
=62万円

■税務署の調査を受ける前に自主的に期限後申告をしたとき:納税額の5%

例:納税額60万円のとき
60万円×1.05
=60万5000円

延滞税 法定納期限までに税金を納めなかったとき 期限の翌日から納付するまでの日×税率(年分ごとに異なる)

(出典:国税庁)

リスク3. 戻ってくるべきお金を得られない

確定申告をしないと、「戻ってくるべきお金を失う」可能性があります。

たとえば、クライアント企業に徴収された源泉徴収税額が所得税額を上回るとき、確定申告をしておけば差額が返還されます。しかし確定申告をしていないと、その差額が返還されません。

また先にも述べたとおり、たとえ事業所得が赤字でも、確定申告(青色申告)をしておくことで翌年以降3年間は赤字額をくり越して控除できます。確定申告をしないと、この繰越控除をうけられません。

リスク4. 住民税の計算ができない

確定申告を行うと、市区町村への納付が必要な「住民税」も同時に計算されます。確定申告を終えると、税務署から市区町村へ確定申告情報が届けられるのですが、確定申告をしないと住民税の計算ができません。

また確定申告がいらない場合も、市区町村への住民税の申告は必須です。所得控除の違いから、所得税の納税義務はなくても、住民税は納めなければならない場合があります。

自身が雇用されている企業が住民税を納めている場合は基本的に問題ありませんが、フリーランスは基本的に自分で納めなければいけません。

確定申告を忘れたときの対処方法

確定申告を忘れた場合は、一刻も早く自主的に申告しましょう。先述のとおり、確定申告を遅らせれば遅らせるほど、支払わなければならない税金が増えていきます。

なお以下のケースをすべて満たす場合は、「無申告加算税」が免除されます。

  • 法定申告期限から1ヶ月以内に、自主的に行われる場合
    →おおむね毎年4月15日前後まで
  • 期限内申告をする意思があったと認められる場合
    →申告期限後に、納付すべきすべての税額をおさめている
    →期限後申告をおこなった前日から起算して5年前までのあいだに、無申告加算税または重加算税を課されたことがなく、かつ期限内申告をする意思があったとみとめられる場合の無申告加算税の不適用をうけていない
    (出典:国税庁)

たとえ遅れた場合でも、できる限りはやく申告することをおすすめします。

(執筆:上塚千恵子 編集:鈴木里菜 取材協力:福岡税務署)

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