「フリーランスの確定申告って義務なの?」
「確定申告をすると、税金を多く支払わなきゃいけなくなる……」

フリーランスや副業をしているが、自分に確定申告が必要なのか分からないと悩んでいませんか? 中には、確定申告をすることで必要以上に多くの税金を払わなければいけないと、敬遠する人もいるようです。

しかし、納税義務があるのに確定申告をしなかったり、納税を拒んだりすると、罰則が生じたり、納税額が大幅に上がるケースも……。

今回は確定申告が必要となる基準から、確定申告をしないリスクや、忘れてしまった場合の対処法をご紹介します。

目次
確定申告が必要となる4つの基準
確定申告が不要となる3つの基準

確定申告が必要となる4つの基準

そもそも確定申告とは、「所得税を“確定”させて、税務署に“申告”する」ことを指します。

所得税の確定は、以下のような計算でおこなわれます。

フリーランスなのに確定申告してない!? 無申告リスクや申告忘れの対処方法
(画像=『Workship MAGAZINE』より 引用)

基本的には、年間の課税所得額がプラス(黒字)のときに、確定申告の義務が生じます。

ただ、初めての方にはわかりにくいと思いますので、以下でもうすこしだけ噛み砕いて解説します。以下、いずれかの基準に1つでも該当する人は、確定申告が必要です。

基準1. 年間事業所得が48万円を超えるとき【フリーランス向け】

フリーランスとして仕事をしている方は原則、「年間48万円の基礎控除(※)」と「社会保険料控除」を受けられます。

社会保険料控除は人によってやや差がありますが、基本的には、年間事業所得(事業で得た収入から経費を差し引いた金額)が48万円を超える場合は確定申告が必要と考えましょう。

(※2020年以降、所得が2400万円以下の人は、基礎控除額が38万円→48万円に引き上げられました)

基準2. 本業のほかに年間20万円を超える所得があるとき【副業者向け】

本業が会社員(サラリーマン)の場合、副業所得が年間20万円を超えるとき、確定申告が必要です。たとえば以下のような人は確定申告の対象となります。

  • 本業以外に、副業で所得を得ている人
  • 本業以外に、株やFXなどで所得を得ている人
  • 本業以外に、不動産所得がある人

基準3. 複数の企業から給与を受け取っており、かつ一定の収入があるとき【パラレルワーカー向け】

近年は複業(パラレルワーク、ダブルワーク)として、複数の企業から給与を受けとるケースも増えています。本業のほかに、アルバイトやパートをしている場合もここに含まれます。

そこで、年末調整が行われていないほうの収入合計額が年間20万円を超える場合、確定申告が必要となります。

基準4. 給与所得が年間2000万円を超えるとき【高所得者向け】

年間所得が2000万円を超える場合は、残念ながら会社員でも年末調整の対象にはなりません。

みずから確定申告をする必要があります。

確定申告が不要となる3つの基準

基準1. 年間の事業所得がマイナスのとき【フリーランス/法人向け】

先に述べたとおり、確定申告が必要となるのは「年間の課税所得額がプラス(黒字)のとき」です。逆にいうと、「年間の事業所得がマイナス(赤字)のとき」は確定申告は不要です。

しかし、マイナスでもあえて確定申告を行うことで、所得税法第70条、第71条より、以下のようなメリットが得られる場合があります。

  • 青色申告をしている純損失に限り、翌年以降3年間の所得の金額から繰越控除が受けられる
  • 青色申告をしている年分のものであるかどうかにかかわらず、所得から控除できなかった雑損失(営業外費用に属する経費の中で、他のどの勘定科目にも分けることができない経費のこと)の金額を、翌年以降3年間の所得の金額から繰越控除を受けられる

赤字をくり越す目的で、確定申告をするのもアリでしょう。

基準2. 副業所得が年間20万円以下のとき【副業者/パラレルワーカー向け】

本業が会社員(サラリーマン)で、副業がアルバイトやパートの場合、その年間収入が20万円以下なら確定申告は不要です。

なお、副業としてクラウドソーシングや個人事業を営んでいる場合、経費を差し引いた所得が20万円以下なら確定申告は不要です。

微妙な違いですが、「最終的に得たお金が、本業以外に年間20万円以上あるか否か」がポイントとなります。

基準3. 源泉徴収された報酬のみを受け取っているとき【会社員向け】

源泉徴収された報酬のみを企業から受け取っているとき、確定申告は不要です。

もっとシンプルにいうと、「副業をしていない会社員」は確定申告が不要です。