世界的な時価総額や流通量で上位の仮想通貨「XRP」は、米リップル社が発行・管理している。国際送金に適しているシステムを有し、日本の銀行や大手企業のほか国際送金業者もその可能性に注目し、米リップル社との提携や協業などを進めている。この記事では、米リップル社のブロックチェーン技術やXRPの持つ特徴などについて迫る。

リップルとは 仮想通貨XRPを開発している会社・システム

リップルとは、仮想通貨XRPを開発している米リップル社(Ripple Inc.)や同社が開発しているシステムを指す。自動契約履行システムである「スマートコントラクト」を実装しているイーサリアムと並んで、XRPはアルトコインの代表格であり、米リップル社の名前も世界的に知られている。

XRPが誕生したのは2012年で、仮想通貨の中でも老舗の部類に入る。考案者はカナダのウェブ開発者のライアン・フッガー氏で、開発自体は2004年から行われていた。仮想通貨情報を取り扱うコインマーケットキャップ社の2018年4月時点におけるデータによると、時価総額はビットコインとイーサリアムに次いで3番目に位置しており、人気が近年急速に高まっている仮想通貨だ。

XRPは送金速度や送金手数料、処理速度の面でもビットコインやイーサリアムよりも優れている点も注目されている。

リップルとビットコインの違いとは

ビットコインとXRPには大きな違いがある。それはシステム開発における目的だ。ビットコインは「決済手段」として、XRPは「送金手段」として開発が進んだ。

取引・送金記録に使われる「台帳」にも違いがある。ビットコインではブロックチェーン台帳に取引データが記録されるが、XRPでは米リップル社が独自開発するXRP Ledgerという分散型台帳にデータが記録される。

管理という観点でも、ビットコインとXRPには異なる点がある。それは、仮想通貨自体を管理する中央機関の有無だ。ビットコインにはシステムの開発グループは存在するものの、取引自体を管理する中央機関は存在していない。一方XRPでは米リップル社が主導して意思決定を行っている。

リップルと相性が良い国際送金

このXRP Ledgerという分散型台帳は、銀行や民間企業を含む法人の国際送金にも適していると言われている。2017年末からは、日本のりそな銀行や三井住友銀行など37の金融機関と韓国に拠点を有する大手銀行の間で、ブロックチェーンを活用したリップル社の送金技術を活用し、実証実験が行われた。

リップル社の技術を活用することで、これまで送金費用が高くなりがちだった国際送金のコストが大幅に削減されることが期待されるほか、送金時間も短縮されることが予想される。国際送金で世界的に有名な米ウェスタンユニオンは、2018年3月にリップル社との提携を発表している。既に世界大手の送金業者の多くがリップル社と提携しており、リップル社の存在感は増すばかりだ。

日本のSBIホールディングスと米リップル社との距離も近い。というのは、既にリップル社とSBIグループは共同で「SBIリップルアジア」を設立しており、ブロックチェーンの先端技術を使って国際送金実験などを実施している。今後共同で、システムの開発をより加速させていくとみられている。

「リップル」と「XRP」の違いは?

XRPは広くリップルとも呼ばれ、リップル社の仮想通貨として浸透もしているが、厳密にはリップルは会社名とシステム名、XRPは仮想通貨名に分類されている。

また、XRPはビットコインなどほかの仮想通貨とは異なる特徴を持つ。XRPは通貨と通貨の橋渡しを行うという目的があり、「ブリッジ通貨」とも呼ばれる。XRP自体も仮想通貨としての価値を保有しているために、ほかの仮想通貨とペアで売買されているが、本来はブリッジ通貨としての機能を主として開発されたものだ。

リップルの今後や将来性は?

近年急激にその存在感を放っているXRPは、その価値が高まっていることから投機目的として保有する人も増えている。また各国の金融機関が注目していることもあり、今後も利用シーンが一層増えると予想する専門家も多い。

今後XRPを取り扱う仮想通貨取引所も増えていくとみられている。一方仮想通貨としての価値自体については、XRPも変動からは逃れられない。XRPの保有については、こういったリスクを把握した上で意思決定すべきだろう。

文・岡本一道(経済・金融ジャーナリスト)

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