これからのリアル店舗の課題とは
今後、小売はプレイヤーとして商品開発するプラットフォームに寄るのか、それを支援する立場に寄るのか――。今はまだ各社それぞれのやり方で商品開発する必要があり、それをデジタル上でサポートする代表的な会社も日本にはまだありません。以前の記事でご紹介した体験型の店舗をつくることも、今は各社が試行錯誤している段階で、これらを横串で提供できるような会社もありません。しかし、これから起こる小売の新たなかたちのなかで、必要なものを提供するBtoBの会社やプラットフォーマーも増えるでしょう。いずれにしても、小売各社はいかに早くD2Cと共通する課題に向き合い解決策を模索できるかで、10年後の景色が変わるのではないかと私は予測しています。
テレビ離れやデジタル化によって、オフラインの小売が縮小してしまうのではないかと思われがちですが、世界的に見てEC化率が進んでも小売の流通総額が減少に転じたという事実は見られていません。
とくに日本の小売は、国土が狭い分多くの店舗が生活圏内に充実しており、顧客管理においてもポイントや決済の囲い込みなど世界的に進んでいるといえます。日本の小売店舗は商品も豊富で欠品もほとんどなく、接客も完璧なレベルと言えるでしょう。そして、日本の小売がずば抜けて優れているぶん、これを揺るがすような衝撃が出なかったのもまた事実です。だからこそ、今後10年で変化する内容を正確に把握して、早期に対応を始める必要があるのです。
文・望月 智之 (株式会社いつも 取締役副社長)/提供元・DCSオンライン
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