魚ロボットの心筋が成長して泳ぎがどんどん上手くなる

筋トレで成長する「人間の心筋でできた魚ロボット」を開発!
(画像=魚ロボットの駆動部分の大きさは数ミリとなっている / Credit::Leah Burrows(Harvard University) . Michael Rosnach、Keel Yong Lee、Sung-Jin Park、Kevin Kit Parker、『ナゾロジー』より 引用)

発見は、魚ロボットの遊泳記録を測定しているときに行われました。

研究者が魚ロボットの動きを分析していると、日を置くごとにどんどんに泳ぐ速度が上がっていっていることが判明したのです。

原因を確かめたところ、魚ロボットに植え付けられた心筋は外部から栄養素を吸収して、生物学的な成長を起こしていたのです。

この成長は1カ月にわたって続き、筋肉の収縮幅、最大遊泳速度に加えて筋肉の動きの協調レベルまでも増大していきました。

そして最終的に魚ロボットは野生のゼブラフィッシュと同様の遊泳速度と遊泳効率に達したことが確認されました。

生物の細胞を部品とすることは不確実性の高さというデメリットもありますが、周囲の環境からエネルギーを摂取して成長するという大きなメリットが存在したのです。

未来ではロボットも筋トレしているかもしれない

筋トレで成長する「人間の心筋でできた魚ロボット」を開発!
(画像=未来のロボットは筋トレできるかも / Credit:Canva , ナゾロジー編集部、『ナゾロジー』より 引用)

今回の研究によって、人間の心臓を使った魚型の生体ロボットが開発されました。

魚ロボットに植えられた2枚の心筋シートはイオン濃度の変化にもとづく収縮と伸びの連鎖を繰り返し、本物の魚のように尾を振って泳ぎます。

また外部からカロリーを摂取することで108日間にも及ぶ持続的な運動が可能であり、さらには心筋が生物学的な成長を起こすことで、遊泳速度・遊泳効率さらには筋肉の動きの協調性が増加していきました。

決まった部品によって決まった範囲でしか動けない従来のロボットとは異なり、生体ロボットには「成長」の概念があるようです。

また今回の研究では、心筋のシートに加えて筋肉の収縮リズムを制御するペースメーカーとなる少数の細胞からなる「自律ノード」も開発され運用されました。

このペースメーカーを左右の心筋シートに1つずつ配置することで、筋肉の動きを最適化し、より本物の魚に近い動きが可能になっています。

研究者たちは今後、人間の心臓細胞をもとに、さらに複雑な生体ロボットを開発していくとのこと。

もしかしたら未来の世界では、ロボットも筋トレをするためにジムに通っているかもしれません。

提供元・ナゾロジー

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