いつのまにか政局化していた東京五輪

とはいえ、炎上しやすいプラットフォームができただけでは着火はしません。燃えるには燃えるための理由が必要です。

今回、氏が炎上した理由は、コロナ対応をめぐってオリンピックがいつの間にか政局化していたことでしょう。

五輪を機に支持率引き上げを狙った政府が悪いのか、それともなんとしてでも政府の足を引っ張ろうと五輪実施に反対した野党が悪いのかはわかりません。でもとりあえず、平和の祭典のはずのオリンピックが、開催が近づくにつれ、“実弾”の飛び交う分断の最前線となっていたことは間違いありません。

そして、反対派が攻撃対象として、イベント制作陣の過去の言動に注目するのは時間の問題でした。

今回は小山田氏にくわえ、演出家の小林賢太郎氏も過去の不適切発言を理由に解任されています。「組織委員会は脇が甘すぎる」という批判も根強くありますね。

でも筆者はその点は同情していて、まさかオリンピックが政治的分断の最前線になるなんて誰も夢にも思っていなかったんだと思います。

小山田氏にしたって、これだけ物騒な左翼反対派がたちはだかるイベントになるとわかっていたなら、そもそもオファーは受けなかったでしょう。

ついでに言っておくと、小山田氏は「障碍のある同級生をすごいイジメていたかも?」という人から「障碍のある同級生をすごくイジメていて、東京五輪の作曲家も辞任に追い込まれた人」という具合にグレードアップしてしまいました。

いわば“五輪クリエイター辞任”というイジメの公的証明書が発行されてしまったようなものです。たぶん二度と日の当たる場所には出てこられない気がします。

結果的に氏の不発弾は26年の時を経て大爆発し、氏のキャリアにとどめを刺したことになります。ホント恐ろしい時代になったもんだなと思います。個人はこれまで以上に危機管理に注力すべきでしょう。

以降、
どの時点で危機回避すべきだったのか
すねに傷の無い人間なんていない。必要なのは危機管理

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Q: 「入社時に解雇の条件を交渉するのはアリ?」
→A:「問題ないでしょう」

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編集部より:この記事は城繁幸氏のブログ「Joe’s Labo」2021年8月12日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はJoe’s Laboをご覧ください。

文・城 繁幸/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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