即レスを意識しすぎると集中力が落ちる
もう1つのデメリットは集中力が失われるというものだ。どちらかといえば、こちらの方が問題が大きい。
昨今ではマルチタスクの弊害が叫ばれるようになり、シングルタスクで集中力を取り戻すべきだという論調が広がりつつある。この意見には完全同意である。手だけ早く動いて、反射神経だけ高めても、浅いタスクを早く処理する能力ばかりが鍛えられるからだ。即レスを意識しすぎると「反応」としての仕事力はついても、「思考」する仕事ができなくなると思っている。
相手とのコミュニケーションをする際に、早く反応することに慣れてしまうと深い思考ができず、相手の発言の表面上だけをなぞって理解したつもりになり、抽象的な回答を送ってしまいがちだ。
たとえば、相手が仕事についての懸念を表明したら、「とにかくスピーディーにお詫びをしてこの場を収めよう」と考えて「今後は気をつけます」といった謝罪文を早く書く能力は鍛えられるかもしれない。だがそれだと課題は解決されないままだ。
この場合は再発防止策まで考えて「対策しましたので今後は同じ問題が起きません。安心してください」というところまで進めれば、相手も深く納得できるし、何より自分自身のためにもなる。
そして、単に慣れた手続きをなぞるだけの作業ではなく、本質的な課題や問題を解決するための仕事をするには集中力が必要だ。始終、相手からの連絡通知にビクビクするような状態に深い集中力は宿らない。筆者は返事は早い方なのだが、連絡通知はOFFにしている。相手からの返事を出すタイミングを一日2回と決めていて、それ以外は見ないようにしている。返事が来るたびに即対応していたら仕事にならないからだ。
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「即レスは正義!」という理論は常に有効に機能するものではないのだ。
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文・黒坂 岳央/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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