目次
量をとるか、質をとるか。安全地帯はまず存在しない
良質な出会いを逃さないために
量をとるか、質をとるか。安全地帯はまず存在しない
私は決して、「某ビジネスマッチングアプリの運営はなっとらん!」と批判したいわけではありません。むしろ、このアプリの治安はかなり良いほうです。マジでヤバいアプリは、この比ではありません。
たとえば、とある “地元でつながるアプリ” は売買春の温床となり、サービス終了に追い込まれました。また、とある “お友達づくりアプリ” では、パパ活の元締めが爆誕し、「渋谷、外資系4名。割り切って参加できる子。顔・全身写真送ってください」みたいな書き込みが溢れかえっています。ネットを介して人を集めるサービスは、えてして、設計意図とは違った使い方をされがちなのです。
じゃあ、安全にマッチングできる場所はどこなのか? 残念なことに、私にも答えは分かりません。
行政や商工会議所主催のイベントなら比較的安全かな?と感じますが、民間主導でないイベントは広報が弱いため、そもそもの参加者が少ない可能性もあります。少なくとも、私の経験上はそうでした。「出会いの量」に重きを置くと治安が悪化し、「出会いの質」にこだわると参加者が減ってしまう。単純でいて、根深い課題と言えます。
だからでしょうか、最近では、「つながり」「信用」を可視化するサービスがアツい!みたいな話をちらほら聞きます。
有名どころでは『Wantedly(ウォンテッドリー)』や『LinkedIn(リンクトイン)』、比較的最近のものならばキャリアSNSの『YOUTRUST(ユートラスト)』あたりでしょうか。確かに、顔の見える人同士でのつながりをベースとしたサービスなら、完全にオープンなサービスよりも荒れにくいだろうと考えられます。『Clubhouse』が招待制で、「この人が紹介しました」を明記しているのもこのあたりの理由でしょう。
ただ、これらのサービスが完全に信用できるかというと、あくまでも無法地帯になりづらいだけであって、ハックしようと思えばできちゃうんですよね。一時期、「SNSのフォロワー売ります。日本人限定オプションOK。100人~1万人まで」みたいな業者が問題になったように、何らかのサービスが生まれ、それなりの影響力を持つようになると、ハックしようとする輩は必ず出てきます。そう考えると、どんなサービスでも気を抜かず、知識をつけて自衛するほかないのかもしれません。
良質な出会いを逃さないために
今回は「意図せぬ営業で時間を奪われる」という話をしました。しかし最後に、ひるがえって、自分はどうなの?という話もしておきたいと思います。
上述のとおり、マッチングサービスはミスマッチが起きやすい環境です。だからこそ、ビジネスパートナーを探している人は、みな同じように警戒心を高めていると考えられます。そんな中で良い人とめぐり会うには、おそらくですが、「積極的な自己開示」と「メリットの提示」が必要になるのではないでしょうか。
考えてみれば、婚活だってそうですよね。ぼんやりと「いい人を探しています」と書くよりも、「マンションは断然、光回線派です。高速インターネットを愛する者同士で結婚したいです」「風呂掃除には自信があります」などと書いてある方が、気の合う人と出会える確率が上がるはずです。
また私自身、「会ってみたいな」と感じた人は、とにかくプロフィールが具体的でした。これまでの経歴、得意分野、所持スキル、ビジネス構想、求める人材像などが簡潔に、かつ網羅的に書かれていると、「私に会おうとする理由」が明確に分かるので、会ってみようかなと思いやすいです。逆にここが明確でないと、せっかくのアプローチも「勧誘か?」と警戒してしまいます。

どんな場所でも、自己紹介(プロフィール)って、つい謙遜しがちです。とくにビジネスでは、世の中にすごい人がいることを知っているあまりに、自分なんかが「〇〇の領域に知見があります」なんて書いていいのか?と迷ったり。でも、そこを乗り越えて自己開示しないと、 “9割の営業” のすきまに埋もれた素敵な出会いを取りこぼすかもしれません。
必要以上に謙遜せず、提供できる価値を詳しく書く。それこそが、ビジネスマッチングアプリで成果を得るためのコツなのかなあと考える今日このごろです。
(執筆:夏野かおる 編集:少年B イラスト:あずさ)
【関連記事】
・フリーランスで爆死しないためのリスクマネジメント 〜独立、その前に!〜
・仕事の名義、正解ってあるの? ~フリーランス、名義をどうするか問題~
・フリーランスの名刺論 〜それ、覚えてもらえる名刺ですか?~
・"祈られない" 営業方法 ~提案の正解、たぶんこれです~
・フリーランスのアンガーマネジメント ~ちょっと待て、その一言がブタのもと~