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肝臓から分泌されるホルモンが脳に働き飲酒を抑制する

肝臓から分泌されるホルモンが脳に働き飲酒を抑制する

次にチームはFGF21がどのように作用するか、マウスの脳を調査。

すると、FGF21が特定の脳領域に影響を与えて、アルコールの欲求を抑制すると判明しました。

ホルモン治療で「アルコール依存症のサル」の飲酒量が低下!
(画像=FGF21が飲酒量を減らすメカニズムが明らかに / Credit:Matthew J. Potthoff et al., Cell Metabolism(2022)、『ナゾロジー』より 引用)

それで今回の研究から、次のメカニズムが明らかになりました。

動物がアルコールを摂取すると、肝臓がFGF21を生成。

続いてFGF21が脳に影響を与え、アルコールをもっと摂取したいという気持ちを抑えてくれるのです。

FGF21変異遺伝子をもつ個体がアルコールを多く摂取するのは、このメカニズムがうまく働いていないからだと考えられます。

ポトホフ氏は、FGF21に関する新しい発見について、「人間のアルコール依存症を治療するのに役立つかもしれない」と述べました。

とはいえ、この効果を人間に適用するにはまだ多くの作業が必要です。

今後チームは、FGF21の効果に関してさらなる研究を進める予定です。


参考文献

Study identifies neural pathway to target, potentially treat excessive alcohol consumption

Liver hormone may help reduce alcohol addiction

元論文

FGF21 suppresses alcohol consumption through an amygdalo-striatal circuit


提供元・ナゾロジー

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