アルコール依存症になると、自分の意志ではなかなかお酒の量を減らせません。
しかし最近の研究では、そんなアルコール依存症患者の希望となり得る結果が出ています。
米国アイオワ大学の医学部に所属するマシュー・ポトホフ氏ら研究チームが、アルコール依存症のサルの飲酒量を減らすことに成功したのです。
肝臓から分泌されるホルモンの投与が、アルコールの欲求を抑えるのに役立ったようです。
研究の詳細は、2月1日付で科学雑誌『Cell Metabolism』に掲載されました。
サルの飲酒量を50%減らすことに成功
研究チームは、肝臓から分泌されるホルモン「FGF21」に注目してきました。
これまでの研究で、FGF21に関する遺伝子の変異がアルコール消費量の増加と関連していることが分かっています。
しかし、その正確なメカニズムまでは分かっていませんでした。
そこでチームは、FGF21がおよぼす影響を詳しく調査することにしました。
アルコール依存症になったサルにFGF21を投与して、飲酒量が変化するか実験したのです。
実験対象になったのは、人間と同じようにアルコールを好むベルベットモンキーです。
チームは、ベルベットモンキーを2つのグループに分け、片方のグループにだけ合成したFGF21を投与。
その後、それぞれのグループに水とエタノールのボトルを与え、どちらか選べるようにしました。
結果、FGF21を投与したグループは、そうでないグループに比べてアルコール消費量が50%も低下したのです。
またマウスでも同様の実験を行いましたが、こちらもFGF21を投与したグループのアルコール消費量が50%低下しました。
サルとマウスは、以前と同じようにエタノールを選びますが、飲む量がはるかに少なくなったのです。