黒坂岳央(くろさか たけを)です。

日本では謙虚な姿勢でいることが好まれる。社会的に成功したり、大きな資産を持っている人がえらそうな態度をせず、柔和な態度でいることを良しとする文化が我が国にはある。

その一方で、えらそうな態度をとる人物は嫌われがちだ。えらそうな態度にもいろんな種類があるが、中でも最上級に忌避されるのが「上から目線」だろう。我が国では上から目線な態度を取るメリットはほぼない。極一部の人からは「頼りがいがある」と思われるかもしれないが、母数の割合から例外にあたると言っていいだろう。時間と労力をかけてわざわざ悪評を積み上げる行為は愚かと評価せざるを得ないため、本稿ではその治療方法も含めて論考したいと思う。

「上から目線の人」で嫌われる人につけたい治療法
mediaphotos/iStock(画像=『アゴラ 言論プラットフォーム』より 引用)

尚、統計データやファクトによるバックアップはない、個人的見解に終止する記事となる。この点を了解の上で読み進めていただきたい。

上から目線の人の特徴

上から目線の人は筆者が会社員時代もいたし、経営者となった今も接することがある。特にリアルでは筆者はナメられやすい人物に映るようで、初対面では普通の人に思える振る舞いをする相手も、時間が経つと上から目線気質に変貌していった自己体験がある。

まず上から目線に感じる人は「こうするべきだ」と、こちらが頼んでもいないズレたアドバイスを提案してくる。それから「自分は上であなたは下」と上下関係を明確化しようとし、基本的にモノの見方はネガティブで、相手のダメなポイントを素早く、包括的に拾い上げる観察眼を持っている。

筆者が会社員の頃は上司がそうだった。「お前はこんなこともできないのか?オレがお前の立場だった時はその3分の1の時間でこなしたぞ」「お前はこういうところがダメだ」と自分がいかに優れているのかをPRしていた。もちろん、彼には優れた部分もあったし、仕事はとてもできる人物でその点についてのリスペクトと感謝は忘れていない。だが、客観的に見てこのような属性は、周囲のヘイトを集める非生産的な行為になっていたと分析できるのではないだろうか。

今は会社員の立場ではないため、上司はいない。だがビジネスを通じて、上から目線でコメントを受け取ることがある。「英字新聞は英語学習素材に有効だ。無料のオンライン記事もあるが、あえて有料の紙媒体を購読することで身銭を切る意識的コミットメントが生まれる。ぜひおすすめしたい」と言えば、「お前は何も分かっていない。無料のオンライン記事の方がお金がかからないというメリットがあるではないか」と高圧的なメッセージを送ってくる。こちらは当然にそのウィークポイントを踏まえた論理展開をしているのに、不思議な解釈だと感じてしまう。

また、このようなビジネス記事を書いたり、ビジネス講演に登壇する時にも「あなたはまだビジネスの経験が浅いから知らないだろうが…」と前置きをしてアドバイスと称した自慢話をしてくる人がいる。こうした気質の人物は、相手とのコミュニケーションの目的を「自分の承認欲求を満たすため」に主眼が置かれていると感じるのだ。

上から目線では損をする

上から目線の態度を取ることは、信用経済社会ではメリットがない。そのため、このような態度を取り続けることは得策ではないと感じる。

まず、上から目線でいると人が離れていくという、大きなデメリットがある。そのような気質の人物と関わりを持ちたいと思う人は極めて少ないためだ。あえてこの態度に積極的に惹きつけられる属性があるとすれば、「自分がマウントを取れる相手はどこかにいないか?」と同じく上から目線の人物であり、承認欲求を満たせる相手を探す人物くらい、だろうか。「類は友を呼ぶ」という、人間社会におけるコミュニケーションメカニズムはこの場合でも遺憾無く機能するものだと驚かされる。