(3)衛星データを用いて作ろうとしている仮想空間とは?

宙畑:作った仮想空間はどのように使われていくのでしょうか?

佐藤:完全に同じものを作って、その上でシミュレーションしたり、その空間の中にあることこそデータの価値ではないかと考えています。

衛星データには唯一無二の価値がある。メタバース空間のゼロ地点を作るスペースデータ佐藤さんを突き動かす衝動とは
(画像=Source : sorabatake、『宙畑』より引用)

企業側としては、シミュレーションの結果を現実世界へフィードバックして改善するということがよく言われていますが、私はデータの活用という意味ではそれは半分なのかなと思っています。

衛星データには唯一無二の価値がある。メタバース空間のゼロ地点を作るスペースデータ佐藤さんを突き動かす衝動とは
(画像=Source : sorabatake、『宙畑』より引用)

仮想空間で起こったことは必ずしも現実世界に返す必要はなく、仮想空間は仮想空間で独自の成長をしていけばいいという考えです。

多くの人が、今は現実世界がメインという価値観を持っていると思うのですが、今後仮想空間の方が支配的という価値観になってくると、現実世界と仮想空間をシンクロさせる必要はなくなってくると思っています。

(4)仮想空間を現実のビジュアルに近づける必要はある?

宙畑:その場合、あえて現実世界と近い状態の仮想空間を作る必要はあるのだろうか?と思うのですが、その点はいかがでしょう。

佐藤:私がよく話をするのは「これってある種ベクトルのゼロ地点だよね」という話をしています。エンターテイメントのコンテンツを作る場合を考えても、完全に現実世界と似てないものを作っても、人々って楽しめないんですよね。

SF小説とかエンタメは、話の中で、(現実世界に無いような)新しいデバイスが出てきたらそれが何なのか一個一個説明しなきゃいけないので、現実のデバイスに近いものを使っているんですよね。

仮想空間でも、地球の重力を無視したり、現実世界のビルの作り方とかマンションの作り方とか部屋の作りを完全に無視したストーリーが生まれたとしても、全く意味がわからないと思うんですよね。

衛星データには唯一無二の価値がある。メタバース空間のゼロ地点を作るスペースデータ佐藤さんを突き動かす衝動とは
(画像=Source : sorabatake、『宙畑』より引用)

仮想空間では、XYZ の三次元の軸のゼロの部分(原点)を誰かが作って、あとはその空間に参加したそれぞれがどの方向にカスタマイズしていくかという流れになっていくと思っていて、そのゼロ(原点)を作る人が、まだいないんじゃないかと思っています。

宙畑:現実世界とは独立した仮想空間の中で生態系を創る時に、重要になってくることはなんでしょうか。

佐藤:やっぱり、キャラクターが大事になってくるのかなと思います。自分の個性みたいなところですかね。

仮想空間だとビジュアルも声も自分で変えられてしまうので、残るのは個性とか性格くらいしかなくて、そこは代替不可能で、より大事になってくるんじゃないかと思っていますね。

性別も人種も意味がない。リアルタイムの言語翻訳もすぐ出てくるので国も関係なくなってくる。

人類っていろんな格差を解消してきていますよね。今まで王様と賎民とか奴隷みたいなものを解消して社会発展していて、最近 だと、LGBT とかいろんなものの格差・差別っていうのをなくしてきているので。

仮想空間の中では、何者にもなれてどこにでも行けて、全てが自由になって全ての制約から解放されると人間に残るってのはキャラクターしかないんじゃないかと 思いますね。