情報を記憶したり判断したりする「認知機能」は、学業や日常生活、また社会生活に大きく関係します。

そのため、脳トレゲームによる認知機能の維持・向上に強い関心が寄せられてきました。

そして最近、東北大学加齢医学研究所の野内 類(のうち・るい)氏らの研究チームは「脳活動をリアルタイムでモニタリングしながら行う脳トレ」を開発。

脳活動を意識しながら脳トレすることで、従来の脳トレよりも認知機能を大きく向上させることに成功しました。

研究の詳細は、2021年12月21日付で科学雑誌『Brain Sciences』に掲載されています。

目次
脳活動をフィードバックする新しい脳トレを開発

脳活動をフィードバックする新しい脳トレを開発

脳トレが効果的なのは、認知機能が衰える高齢者だけではありません。

若年層であっても脳トレゲームによって認知機能が向上し、学業や社会で大きく役立ちます。

では、脳トレゲームの効果を最大限に引き出すにはどうすれば良いのでしょうか?

これまでの研究により、脳トレゲーム中の脳活動が高いほど認知機能が向上すると分かっています。

そこで研究チームは、脳活動をモニタリングしながら脳トレすることで、認知機能の向上効果をアップさせられると考えました。

そして今回開発されたのは、脳活動をリアルタイムでフィードバックする脳トレ「ニューロフィードバック脳トレ(NF脳トレ)」です。

脳活動をリアルタイムでモニターできる「脳トレ」を開発
(画像=ニューロフィードバック脳トレ(NF 脳トレ)のシステム / Credit:野内 類(東北大学)ら_脳活動が高い状態でのニューロフィードバック脳トレが認知機能向上に効果的! 脳活動をリアルタイムでモニタリングできるニューロフィードバック脳トレの開発(2022)、『ナゾロジー』より 引用)

プレイヤーは脳計測装置を装着しながら、脳トレゲームを行います。

するとゲーム中、脳活動の状態(低・中・高)が背景色となってリアルタイムでフィードバックされます。

これによりプレイヤーは、常に脳活動を意識しながら、脳トレゲームができるのです。

では、この新しいNF脳トレは、従来の脳トレと比べてどれほど効果的なのでしょうか?

次に、比較試験の結果を見ていきます。