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■都市で農業? アーバンファーミングとは…
■渋谷の畑と相模原の畑や栃木の田んぼで活動

普段は会社で働いていても、週末は土いじりをやってみたい。そんな人におすすめなのが、都市農業「アーバンファーミング」。自分で畑を買ったり、借りたりしなくても参加できる仕組みがある。
その代表格である東京・渋谷の「アーバンファーマーズクラブ」の代表理事・小倉崇さんに畑を男の隠れ家にする楽しさを聞いた。
■都市で農業? アーバンファーミングとは…

都市で生活している人ほど、農のあるライフスタイルに憧れる人は多いのではないだろうか? 市街地やその近郊で実践される農業は「都市農業(アーバンファーミング)」と呼ばれている。
このうち、農家以外の人が小さな畑を利用できるものでは、自治体などによる「市民農園」がよく知られている。市民農園は、貸し付けられるものと、その都度利用できるものがある。まず手始めに気軽に始められるのは、都度利用できるタイプだろう。
2018年から都市生活者にそんな機会を提供しているのが、東京・渋谷のアーバンファーマーズクラブ(UFC)。代表理事の小倉さんはフリーの編集者。それまで農業とは無縁だったと言うが、いつの間にかアーバンファーミングに魅力を感じ、団体を作るまでになった。
「アーバンファーミングは、ヨーロッパやアメリカではもっと盛んで身近なもの。空き地があれば勝手に看板を立てて、作物を植えて畑にしてしまう(笑)。農業をやる、と気負って始めるものじゃなくて、一人ひとりが自分たちの食べ物くらい育ててみようというものなんです。実際、僕がUFCを始めるきっかけになったのは、渋谷のライブハウスの屋上で畑をやっていたら、ビジネスマンから女子高生まで色んな人から見学したいと言われたから。都会に住んでいても、土をさわりたい、作物を育てたい、というのは本能的なものかもしれないですね」(小倉崇さん、以下同)
■渋谷の畑と相模原の畑や栃木の田んぼで活動

実際にアーバンファーミングはどのようにして、実践されているのだろうか? UFCの活動内容を教えてもらった。
「UFCは、東京・渋谷に5つの畑があり、そのほか神奈川・相模原や栃木に畑や田んぼがあります。渋谷の畑は、都会の真ん中にあるので屋上のプランター菜園や商業施設の庭園が中心です。とはいえ、野菜やハーブだけではなくて、工夫して稲も植えています。初めて来る人は、こんな都会で作物が育つことに驚かれますね。相模原の畑は1haの広さがあって古民家もある本格的な里山の畑。リラックスする目的もあるので、リトリートセンターの役割があります。栃木の田んぼは、登録メンバーの部活動の一環でもあります」
UFCでは都会だけでなく、田舎にも本格的な畑が用意されている。利用するにはどのようにすればいいのだろう?
「ホームページ経由で登録料(1,000円)を支払えばメンバー登録できます、活動日はSNSで告知しているので、来られる日のチケットを購入すれば参加OK。一人で参加する人、友達と参加する人、夫婦や子ども連れで参加する人など、さまざまです。都会の習い事と違うのは、『仕事何やっているの?』という会話がないところ。『ニンジンおいしいよね』で関係性が始まるので、普段の生活の延長線上でないところで自分をオープンにできる。サードプレイスとしての役割もあると思います」
実際に、メンバー同士が自然に仲良くなり、旅行に出かけることも。特に、ハーブ部、田んぼ部などUFC内の部活動のメンバーになると、より親しくなるのだと言う。また、UFCは、地域企業との協業で子ども農園が作られたり、生ゴミを堆肥に循環させる会社と連携して畑の堆肥として利用したり、新しい価値も生み出している。