コロナの影響が長期化し、フリーランスや個人事業主にとって厳しい状況が続いています。フリーランス協会の調査『フリーランス白書2021』によれば、全体の55%のフリーランスが2020年に前年より収入が減ったとのこと。
そんなフリーランスや個人事業主を支援するべく、政府や都道府県は「月次給付金」をはじめとするさまざまな支援策を講じてきました。しかし、支援策が多様なため「結局、いまどんな支援が受けられるのかわからない」という声もあります。
そこで、この記事ではフリーランス/個人事業主が受けられる給付金、支援制度をまとめてご紹介します。(情報は毎月更新中!)
目次
フリーランス&個人事業主向けの支援制度の種類
【2022年2月時点】いま申請できるフリーランス&個人事業主のための給付金、支援制度まとめ!
フリーランス&個人事業主向けの支援制度の種類
具体的な支援制度の話に入る前に、「そもそもフリーランスを対象とした支援制度にはどのような種類があるのか」を解説します。
給付金
月次給付金などの「給付金」は、フリーランスにとってもっとも嬉しい支援制度でしょう。申請さえクリアできれば現金を受け取れるため、誰もが受給したいと思う仕組みになっています。給付金の使いみちを限定しない制度も多く、幅広い用途に使えます。
しかし、制度の数自体はやや少なめです。また、申請期限も定められているほか、事業所得扱いになる給付金も多いため、注意点もよく確認しましょう。
【給付金のメリット】
- 現金がもらえる
- 使いみちを限定しない制度が多い
- 幅広いフリーランスが支援対象に
【給付金のデメリット】
- 制度数が少ない
- 減収が給付の条件になっているものが多い
- 事業所得として税金がかかるものが多い
補助金/助成金
補助金や助成金も、現金がもらえるという点では給付金と同じ。しかし、こちらは「申請対象となる用途が決められている」「投じた費用の〇割を補助する」という感じで、自由に使える現金ではないことが違いです。
ただし必ずしも減収している必要がなく、事業推進の目的で活用できるのはメリット。対象額も給付金より多くなりやすい傾向にあります。
【補助金/助成金のメリット】
- 現金がもらえる
- 減収していない場合も支給対象になり得る
- 対象額が多くなりやすい
【補助金/助成金のデメリット】
- 現金の用途が限定されがち
- 投じた費用を後から補填する形が多い
- フリーランスを対象にする制度が少ない
減免/免除/支払い猶予
納付が義務付けられている税金や保険料、年金などの減免や免除、支払い猶予も支援策のひとつです。こちらは直接現金がもらえるわけではないため、報道されることは多くありませんが、確実に家計の支えになります。支払いが厳しい場合は、こうした制度を利用するのも一つの手です。
しかし、かなりの減収が前提条件になるほか、「完全免除」は少なく、いつかは支払わなければならないケースもあります。年金や保険料の場合は全額納付した場合に比べて、将来の受給額が減る場合もあるので注意が必要です。
【減免や免除、支払い猶予のメリット】
- 固定費が削減されて現金を確保できる
- 完全免除になる場合もある
- 申請が(補助金などに比べれば)楽
【減免や免除、支払い猶予のデメリット】
- いつかは支払わなければならないケースも
- 手持ちの現金が増えるわけではない
- 全額納付に比べて不利になりやすい
貸付
フリーランスは「借金が難しい」とよく言われますが、現在、コロナ禍で融資の基準がかなり緩くなっています。また、数年間は実質無利子での貸し付けも行われ、さらに売り上げが好転しなければ返済免除となる制度もあるため、普段の借金よりもハードルは低いといえるでしょう。
一方、こちらも減収が条件になることが多いため、事業拡大のための融資に回すのは困難。また、借金であることに変わりはないので、返済の目途がたたなければ自己破産につながりかねません。必要性を十分に検討しましょう。
【貸付のメリット】
- 制度数が多く、充実している
- 現金を得るスピードが早い
- 無利子での貸し付けや返済免除制度も
【貸付のデメリット】
- 減収が条件になることが多い
- 借金であることに変わりはない
- 数年後には利子が復活してしまう制度も
【2022年2月時点】いま申請できるフリーランス&個人事業主のための給付金、支援制度まとめ!
いま申請できるフリーランス/個人事業主向け支援制度をまとめました。
ただし、事業者向けの支援制度をすべてまとめると膨大になるため、ここでは以下のフリーランス/個人事業主が対象の制度に絞ります。
- 法人ではない
- 従業員を雇用していない
- 医療機関、飲食店ではない
- プログラミング、デザイン、ライティングなど、個人の技能で生計を立てている
また、対象となる支援窓口は「国」「国に準じる機関(独立行政法人など)」に限定します。
ここには載せきれない例外規定や補足事項などもあるため、気になる制度があった場合には各支援制度のリンクよりご確認ください。
【給付金】事業復活支援金
新型コロナウイルス感染症の影響で困窮した個人事業主/フリーランスに向け、新たに「事業復活支援金」という制度が創設されました。コロナの影響により2021年11月~2022年3月のいずれかの月間売上が2018年11月~2022年3月の月間売上と比べて50%以上減少していれば、最大50万円の給付金を受け取れます。
また、月次支援金・一時支援金と異なり、売上減少率が30%~50%未満の場合も、最大30万円の給付金を受け取れるようになりました。
基本的な手続きは月次支援金・一時支援金と共通しており、どちらかの申請を済ませた事業者には登録確認が不要になるなどの特典があります。
支援対象者 | コロナ禍で売上が30%以上減少し、コロナの影響を受けているフリーランス |
支援額 | 最大50万円 |
必要書類 | 確定申告書、売上台帳など |
申請方法 | 書類をそろえ、所定の機関で事前確認を済ませてオンライン申請 |
申請期限 | 2022年1月31日~5月31日 |
特徴 | ・1回あたりの給付額増加 ・過去の支援金申請者は手続きの大半をスキップ可 ・30%減でも支給対象に |
支援団体 | 経済産業省 |
【補助金/助成金】小規模事業者持続化補助金
小規模事業者の事業継続を支援する「小規模事業者持続化補助金」は、フリーランスも利用できます。一時支援金を超える最大50万円の補助が受けられます。しかし、フリーランスの申請が難しい制度なのも事実です。
申請要項には「地域の商工会議所または商工会の助言等を受けて経営計画を作成し、その計画に沿って地道な販路開拓等に取り組む費用の2/3を補助します」と書かれており、商工会議所/商工会と相談したうえでの事業計画の策定が必須とわかります。また、フリーランスの中でも「商工業者」に該当する必要があります。
支援対象者 | 商工会議所または商工会の助言等を受けて経営計画を作成し、地道な販路開拓等に取り組むフリーランス |
支援額 | 最大50万円(2020年1月1日以降開業の場合、最大100万) |
必要書類 | 経営計画書、補助事業計画書など |
申請方法 | 書類をそろえ、商工会議所/商工会と計画書を作成して郵送 |
申請期限 | 2022年2月4日(第7回申請分) |
特徴 | ・事業継続には効果的 ・申請できるフリーランスは少ない ・商工会議所/商工会の指導、助言が必須 |
支援団体 | 中小企業庁、日本商工会議所など |
【補助金/助成金】ものづくり補助金
フリーランスが利用できるもう一つの補助金が「ものづくり補助金」です。これは以下のような補助金だと定義されています。
中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行い生産性を向上させるための設備投資等を支援する
引用:ものづくり補助金総合サイト
つまり、「今後の社会変動に適応するための投資を補助しますよ」という制度です。一般型の場合は100万円~1000万円という多額の補助を受けられますが、「最低50万円以上の設備投資」「設備投資によって事業を成功させるための計画策定」などが求められるため、ほとんどのフリーランスが対象外になってしまうと思われます。
支援対象者 | 今後の社会変動に適応するために50万円以上の投資をするフリーランス |
支援額 | 100万円~1000万円(一般型) |
必要書類 | 事業計画書、確定申告書など |
申請方法 | GビズIDを取得後、書類そろえオンライン申請 |
申請期限 | 2022年2月8日(火) 17時(第9次締め切り) |
特徴 | ・事業継続には効果的 ・申請できるフリーランスは少ない |
支援団体 | 中小企業庁、中小基盤整備機構など |
【補助金/助成金】都道府県/市町村による支援金
緊急事態宣言などの影響で売り上げが減少した事業者に対して、都道府県や市町村ごとに支援金が設けられています。
独立行政法人の中小企業基盤整備機構が運営する中小企業向けポータルサイト「J-Net21」において、自治体別支援金情報が確認できます。居住している都道府県や市町村のページをチェックしてみましょう。
【減免/免除/支払い猶予】国民年金の免除
国民年金は、コロナ禍の減収を理由に免除が受けられます。
令和2年度分の支払いに関しては「令和2年(2020年)2月以降で収入が減少した任意の月の収入×12-経費と控除」が57万円以下(単身者)の場合、令和3年分からは「令和2年(2020年)2月以降で収入が減少した任意の月の収入×12-経費と控除」が67万円以下(単身者)の場合に全額免除が受けられます。
上記の条件を満たさなくとも、収入が一定以下であれば一部免除を受けられます。しかし、いずれにせよ将来の年金受給額が減るので要注意です。
支援対象者 | コロナ禍で減収したフリーランス |
支援額 | 納付額の4分の1免除~全額免除 |
必要書類 | 所得、免除の申請書 |
申請方法 | 役所または年金事務所に郵送 |
申請期限 | 未定 |
特徴 | ・固定費の削減につながる ・未納扱いにはならない ・将来の受給額が減る |
支援団体 | 日本年金機構 |
【貸付】 新型コロナウイルス感染症特別貸付
日本政策金融公庫が実施する「新型コロナウイルス感染症特別貸付」は、貸付ではありますが資金の確保に効果的な手段です。売り上げが5%以上減少しているフリーランスは、最大8000万円までを無担保で借りられます。
また、借り入れから3年間は利子にあたる金額を補給してもらえるので、実質無利子での利用が可能に。ただし、3年後からは割安とはいえ利子が発生します。また、通常時よりは緩いと言われているものの、審査は必要です。
支援対象者 | コロナ禍で5%以上減収したフリーランス |
支援額 | 最大8000万円までの無担保融資(無担保上限は6000万円)+3年間の利子補給 |
必要書類 | 借入申込書、確定申告書など |
申請方法 | 郵送またはインターネット申請 |
申請期限 | なし |
特徴 | ・普段より運転資金を借りやすい ・無担保、3年間は実質無利子 ・3年経つと利子が発生する |
支援団体 | 日本政策金融公庫、中小企業基盤整備機構 |
【貸付】セーフティネット保証、危機関連保証を利用した貸付
経営に苦しむフリーランスを市町村などが認定することで、貸し倒れのリスクを防いで民間金融機関が融資をしやすくなる「セーフティネット保証」や「危機関連保証」という制度もあります。コロナに関連して認定されるセーフティネット保証は「4号」「5号」と2種類ありますが、どちらも売上が減少していれば認定される確率は高いです。
政策金融金庫の貸付より借り入れ上限は低いですが、審査通過率が高いのが特徴です。ただし、この制度を利用した借り入れが実質無利子や無担保になる特典は2021年3月31日で終了しているため、注意しましょう。
支援対象者 | コロナ禍で一定額減収したフリーランス |
支援額 | 最大2億8000万円の融資 |
必要書類 | 申請書、確定申告書など |
申請方法 | 市区町村でセーフティネット認定を受けたのち、申請(金融機関が代理申請してくれる場合も) |
申請期限 | ・セーフティネット保証4号:2022年3月1日 ・セーフティネット保証5号:2022年3月31日 ・危機関連保証:2021年12月31日 |
特徴 | ・運転資金を借りやすい ・金融機関の代理申請ができれば楽 ・無利子、無担保制度は終了している |
支援団体 | 経済産業省、全国の金融機関など |
【貸付】セーフティネット貸付
上記の「セーフティネット保証」に名前は似ていますが、こちらは日本政策金融公庫が実施する貸付制度。売上の減少が基準値に届かなくても「今後減少が見込まれる」という条件をクリアできれば借りられるのが特徴です。
しかし、利子が発生するほか、担保が必要になるケースもあるため、ここまで見てきた貸付制度が利用できればそちらを利用したほうがお得です。
支援対象者 | コロナ禍で減収したor減収が見込まれるフリーランス |
支援額 | 最大4800万円の融資 |
必要書類 | 申請書、確定申告書など |
申請方法 | 支店の窓口で申請 |
特徴 | ・売上の減少要件がない ・利子が発生する ・担保、保証人が必要になる場合も |
支援団体 | 日本政策金融公庫 |
【貸付】生活福祉資金の特例貸付
事業継続だけでなく、生活面で支障が出ている場合に役立つのが「生活福祉資金の特例貸付」です。制度には緊急時用の「緊急小口資金」と、生活再建用の「総合支援資金」がありますが、どちらも無利子かつ保証人なしで借りられます。
返還時にも収入減少が続き住民税非課税対象の所得になっている場合は、返済が免除になる特例も。借り入れ可能額は小額ですが、お金に困っている場合とりあえず借りて損はありません。
支援対象者 | コロナ禍で日常生活の維持が困難になったフリーランス |
支援額 | 緊急小口資金:最大20万円 総合支援資金:最大月20万円(原則3か月以内) |
必要書類 | 借入申込書、住民票など |
申請方法 | 市区町村の社会福祉協議会で申請 |
申請期限 | ・緊急小口資金:2022年3月末まで ・総合支援資金:2022年3月末まで (初回貸付のみ) |
特徴 | ・低リスクで小額融資を受けられる ・無利子、保証人不要 ・返還免除の特例も |
支援団体 | 厚生労働省、全国の社会福祉協議会 |