研修は動画を活用
また、新しいソフトの使い方の研修なども、企業によってはソフトを触らせ各々でメモを取らせるところもある。だが、これでは非効率だ。参加者が全員それぞれで一生懸命メモを取ることで、研修内容も頭に入りづらい。メモの取り方が熟練していない社員は、後でメモを見返しても内容がわからないこともあるだろう。
筆者は過去に自社で、新しいソフトウェアの導入を決め、その使い方を教える立場になったことがある。以前は社員を同じ部屋に集め、みんなで操作をしてもらった。その間、業務も止まってしまうし、PC操作の熟練度によって、ついていける人、いけない人にわかれた。このやり方は極めて非効率だ、と教える側に立って感じた。
現在は自分が操作方法を説明しながら、新しいソフトウェアの操作をする様子を画面キャプチャ録画して、YouTubeで非公開動画にアップ、URLを配布するやり方に変えた。これなら各人が手が空いたタイミングに視聴できるし、操作途中でわからなくなれば動画を見直せばいい。事前にマニュアルを作って配布すればさらに効率的になるだろう。
このやり方は結果的にとてもスムーズな導入となり、研修後に質問が来たり、操作がわからなくなったという声は一切なくなった。動画を2倍速で視聴する社員もいた。
すべてではないにしろ、そもそも新人にメモを取らせる時点で敗北といっていいシーンもあるはずだ。
それでもメモが必須な場面はある
もちろん、マニュアルや動画研修を準備できない場面は依然として存在するのは理解している。その時は当然ながら、新人はメモを取るべきだ。
たとえば、筆者は月一回、経理部全員で社長に会社の業績を報告する「社長報告会」というものに参加していた。その際、社長から「資料がわかりにくいので次回からここを変えて」「この数値も入れて」などいくつかフィードバックを受けた。次回の報告会でその部分が改善されていなければならず、間違っても社長に「議事録かマニュアルを作って」など言えない。そういった場合は、社長の要望をこちらがメモに取り、資料を改善する必要があるだろう。
また、同じように取引先のクライアントとのやり取りの中でも、お客さんである相手に議事録やマニュアルを作成させるわけにはいかないから、相手の要望などはメモを取る必要がある。
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以上のことから、十把一絡げに「新人はとにかくメモを取るべきだ」というのは論理的にも、経営効率的にも誤りだと感じる。メモを取るべき局面、マニュアルを作成しておくべき局面に切り分ける判断は、新人ではなくベテラン社員や上司の仕事ではないだろうか。
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文・黒坂 岳央/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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