人は対面で会うことで真の実力が見える

「本物に触れる」というのは、オンラインでディスプレイ越しではなく、手で触れられる距離で観察するという意味もある。

「オンラインの時代に、わざわざ直接見ることなどアナログで非効率では?」という反論がありそうだが、しかし、考えてみてほしい。オンラインで無料だからと、旅行に行かずGoogleストリートビューで済ませるだろうか? 否、直接現地に足を運んで受ける衝撃は実体験しなければ絶対に分からない。人間が住まう前提で作られた都市に住んでいる都会人は、グランドキャニオンが放つ圧倒的な自然の厳しさの迫力は、現地で身を切るような冷たい風に吹かれない限り絶対に味わう事はできない。

人間関係も同じである。写真や動画越しで見るのと、手を伸ばせば直接触れられる距離で本人を見るのとでは「オーラ」の感じ方がまるで違う。ブログやSNSで精力的に発信する人物と、対面で話すと思わずのけぞるような圧倒的な迫力が備わる。

これはメディアを通じて1対nで大衆に語りかける場合と、1対1で目を見てこちらに語りかける場合とでは言葉の重みがまったく異なるためだ。また、1対nのオンラインでは絶対に話せない話もある。オンライン越しで「この人物はすごい」と感じていても、実際に対面で話をすればその何倍もすごいと感じる事が多いのはそのためだ。

まがい物、詐欺が横行し、コモディティ化が進む現代、あえて非効率にエネルギーを使って本物に触れる体験を習慣化することは重要だと思っている。芸術が好きなら、美術館に足を運び、グルメなら通販ではなく名店で食事をすることだ。ビジネスや勉強は、超一流を師に立てるのが良いだろう。本物を通じて得た眼力は、残りの人生で一生役に立ってくれるに違いない。

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文・黒坂 岳央/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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