新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けて、リモートワークが普及しつつある。しかし「連絡が取りにくくなった」「急にパフォーマンスが下がった」といった問題が聞かれるようなり、特に年代が高めの会社員は上手く対応できていないケースが多いようだ。

リモートワークの導入率は9割以上?

まだ高い水準とは言えないが、日本でもリモートワークの導入が進みつつある。日本経済団体連合会(経団連)の4月21日の発表によれば、回答があった会員企業406社のうち97.4%がすでにテレワークを導入しているという。

経団連の加盟企業には大手企業が多いので、導入率が高くなっているのだろう。また、導入企業であっても全社員がリモートワークを行っているわけではない。しかし、確実に検討企業や導入企業は増えていると言える。

民間調査会社の東京商工リサーチが4月10日に公表したアンケート調査の結果によれば、在宅勤務を実施している企業は25.3%だった。経団連が発表した数字と大きな乖離があるものの、3月上旬に行われた前回の調査からは7.7%増となっており、増加傾向は確認できる。

リモートワークに上手く対応できていない人の特徴

リモートワークの導入は進んではいるが、全員がリモートワークに柔軟に対応できているわけではない。小さい頃からインターネットが身近だった「デジタルネイティブ世代」に比べ、30~40代以上の会社員はリモートワークで戸惑う人も多い。

ツールの使い方に不慣れなだけではなく、新たな働き方に対応できない人も多いのだ。

特徴1,ITリテラシーが低いことでツールを上手く扱えない

リモートワークでは「Skype」や「Zoom」などのビデオ会議サービスが利用されるが、30~40代以降の人の中にはリモートワークへの切り替えによって、このようなツールを初めて使う人も多い。

普段からネットサービスを使っており、ITリテラシーがある程度高ければ、使い方でつまずくことは少ないだろう。ただしITリテラシーが低い人は、リモートで仕事ができるようになるまでの「入り口」部分で苦労する。

在宅勤務では隣に若手社員がいるわけではないので、気軽に操作方法を教えてもらうこともできない。

特徴2,部下の動きが見えにくく、マイクロマネジメントになってしまう

ツールを使いこなせないだけではなく、リモートワークという新たな働き方に対応できていないケースも目立つ。

企業文書を電子化・ペーパーレス化するサービスを提供するペーパーロジック社が3月に発表したアンケート結果によると、会社員が「テレワークの課題」として最も多く挙げた項目は「対面よりもコミュニケーションが難しい」(45.9%)だった。

30~40代以上の管理職の場合、部下の動きが見えないため必要以上に業務に干渉してしまい、若手社員をうんざりさせてしまうこともあるようだ。

「今がチャンス」という意気込みで

新型コロナウイルスの感染拡大は、日本人の働き方を大きく変えるきっかけになる可能性が高い。30代以上の管理職の人は、リモートワークでも部下を上手くマネジメントするスキルが求められるようになるだろう。

リモートワークの最初の段階では、上手く対応できなくても仕方がない。しかし、この機会に上手くこなせるようになれれば、部下からの信頼も獲得でき、アフターコロナで役立つ人材になれるはずだ。

文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)
 

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