空室リスクの原因
空室リスクの対策をするにあたり、原因を探ることは必要不可欠です。ここでは、空室リスクの代表的な原因について解説します。
空室リスクに不安を抱えている方や空室期間が長引いていて困っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
ライバル物件が増えた
空室が長引いてしまう原因の1つとして、ご自身の所有している物件よりも条件の良いライバル物件が増えたことが挙げられます。
物件を購入した時点と現在では、周辺の物件状況が変わっている場合があるのです。
たとえば、周辺に新築物件が増えていたり、ライバル物件がリフォームをして内装が綺麗になっていたり、設備が追加されていたり、似たような物件が家賃を下げていたりすることなどが考えられるでしょう。
空室になってから分析し始めるのでは、対策が遅れてしまう可能性があります。
定期的に、周辺環境やライバル物件の条件などを確認しておくとよいでしょう。
人口減
日本の総人口は年々減少しており、今後もしばらくは減少が続くと予測できるでしょう。
人口が少なくなれば賃貸物件の入居希望者の数も総じて減ることになりますから、空室リスクの原因の1つになり得るといえます。
ただし、地域を細かく見てみると人口が増加している地域も存在します。
東京23区などの都市部だけでなく、地方でも一部に人口が増加している地域が存在しています。
不動産投資において、立地は非常に重要な項目です。
賃貸需要を知るための1つの指標として、地域における人口や世帯数の推移を調べてみるとよいでしょう。
相場よりも賃料が高い
空室リスクの原因として、相場よりも賃料が高いことも考えられるでしょう。
賃貸物件を探している人は、「できる限り安くて綺麗な部屋を借りたい」と考えています。
そのため、似たような条件の部屋があれば、賃料が安い部屋から客付けされていくことが予測できます。
仲介会社へのアピールポイントが足りない
仲介会社に対する情報が少なく、どんな物件なのかわからないので紹介しにくいという可能性があります。
仲介会社に入居者募集を依頼するときには、物件情報や募集条件、鍵の所在など必要な情報をきちんと伝えるとよいでしょう。
空室の状態が悪い
入居希望者の多くは、気になる物件をいくつか内見してからどの物件を申し込みするのか決定します。
したがって、退去後のクリーニングを行っていない、空室期間が長引いて埃やゴミがたまっているなど、内見時の印象が良くないと成約に結びつかない可能性が高まります。
居室の状態が悪いと、空室リスクの原因となりやすいので対策が必要です。
空室リスク対策
ここでは、空室がなかなか埋まらないときの対策について解説します。
空室に悩んでいる方や空室リスク対策が知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
ライバル物件と自物件を分析する
まずは、周辺のライバル物件とご自身の所有している物件の現況を分析することから始めましょう。
不動産ポータルサイトや不動産会社への聞き込みなどから立地・築年数・設備・間取り・募集条件などの情報を調べることをおすすめします。
また、周辺環境や既存入居者の属性を調べて、ご自身の所有している物件のターゲット層を把握しておくことも大切です。
若年層の社会人向けに初期費用を抑えた募集条件にしたり、セキュリティが向上する設備を追加して学生の親御さんへのアピールポイントにしたりするなど、ターゲット層に合う対策を行うようにしましょう。
空室リスク対策のはじめの一歩として、さまざまな角度からご自身の所有している物件を分析してみることをおすすめします。
募集条件の見直し
空室が長引いてしまう原因の1つとして、周辺相場よりも賃料が高いなど条件が悪いことが考えられます。入居者が決まるような募集条件になっているか、見直すとよいでしょう。
また、前回の入居時とは周辺相場が変わっている場合があるため、退去後の募集家賃を決める時には必ず周辺相場を調べることをおすすめします。
さらに、前回の入居者募集時よりも築年数が経過していますので、周辺相場やライバル物件の募集条件などを分析し、ローンの返済額や収益性なども考慮した上で賃料を決定するとよいでしょう。
賃料の設定に悩む場合は、管理会社・仲介会社などにも相談することをおすすめします。
仲介会社に募集依頼
客付け力の強い仲介会社や物件のあるエリアに精通している仲介会社に募集を依頼することも空室対策の1つです。
また、インターネットへの広告掲載も重要なポイントの1つです。
しかし、インターネットへの広告掲載には、物件の基本情報や募集条件、写真などを登録する必要があるため非常に手間がかかります。
仲介会社に入居者募集を依頼するときは、広告に必要な物件情報と募集条件をまとめたものや、外観・内観写真のデータをまとめたものを準備しておくと早めに対応してもらえる可能性が高まるのでおすすめです。
内見時の印象を良くする工夫をする
内見までたどり着いているということは、顧客の興味のある物件であるということです。
したがって、内見時の印象を良くすることで成約率が高まる可能性が高くなるといえるでしょう。
たとえば、内見時の印象を良くするための工夫として以下のものが考えられます。
- 内見前に共用部や部屋の中を掃除する
- 内見前に窓を開けて換気しておく
- 玄関に内見用のスリッパを設置する
- 小物を置いて部屋の見映えを良くする
- 夕方以降の内見も想定して電気を通しておく
- 家具を配置してモデルルームにする
室内が綺麗であったり、内見する人への配慮が見えたりすると、内見に来た人に好印象を与えることができます。
部屋の中に小物や家具が設置してあると、引越し後の暮らしが想像できるのでより効果的です。
設備の入れ替え
古い設備があれば、新しい設備との入れ替えを検討しましょう。
たとえば、チャイムやインターホンをテレビインターホンに変更する、キッチンの水栓をシングルレバーに変更する、洗面化粧台を新しいものに交換することなどが考えられます。
物件のある地域の標準設備やライバル物件の設備状況などを調査・分析し、費用対効果を考えて対応することをおすすめします。
リフォーム・リノベーション
空室リスクへの対策として、リフォームやリノベーションも有効です。
リフォームやリノベーションをすることで入居率が大きく改善することもあります。
ただし、リフォームやリノベーションにはある程度まとまった費用がかかるのが一般的です。
ターゲット層を明確にして費用対効果を考えながら、変更箇所・内容を検討することをおすすめします。
できる限り費用を抑える方法として、複数の業者に見積もりを依頼して比較検討をすることや、DIYが可能な部分は自力で対応することなどが挙げられます。
リフォームやリノベーション後の設定家賃などの条件も踏まえて、予算を考えてみましょう。
サブリース
サブリースとは、不動産会社などが物件を一棟まるごと借り上げて、入居者に貸し出す仕組みのことをいいます。
サブリースでは不動産会社が全室借り上げるため、入居者の有無は関係なく賃料が得られることがメリットの1つ。
実際には空室であっても賃料が入るため、サブリースは空室リスク対策として効果があるでしょう。
ただし、サブリースは不動産会社などが借り上げて入居者に貸し出す転貸借の仕組みであるため、オーナーに支払われる賃料は入居者から得られる賃料よりも10~20%程度低くなることが一般的です。
また、契約更新時などのタイミングで定期的に賃料の見直しがあるため、最初に契約したときの賃料が永久に受け取れるわけではありません。
サブリースを検討する場合は、賃料の見直しがどのくらいの頻度で行われる予定であるのかなどの条件を、契約する前にきちんと確認することをおすすめします。
※サブリース契約では、家賃の更新時期にかかわらず借地借家法第32条の規定に基づき賃料の減額請求がされる可能性があります。また、借地借家法の規定により契約期間中に不動産会社側から解約することがありますが、オーナー様からの解約に対しては「正当事由」が必要となります。