日本の「MAG」輸出競争力の危機感

ネットフリックスでは「イカゲーム」、音楽ではBTS、マンガはスマホスクロール方式のウェブトーンだよね、となれば韓国勢に3連敗になる日本のエンタメ系ビジネス。日本はこだわり過ぎて変えられない、これが私の見立てです。「MAG」とはマンガ、アニメ、ゲームの略称で日本のお家芸とされましたが、もうそんな時代ではありません。

一番先に陥落したのがゲーム。スマホでもPCでもすぐに誰にでも始められ、ハードルを目いっぱい下げて参加者を増やす方式をとった北米方式が今は桁二つ違いの圧勝です。また日本のゲーム会社が当地にこぞって開発拠点を設けましたがほぼ全滅となったのはゲーム開発の思想の違いもあったのでしょう。つまり日本方式はかつては驚きをもって受け入れられた新風だったのに今ではそれは錆びつつあるのです。

私は日本の形を守ろうとし過ぎた保守性が逆手になったと思っています。たとえばユネスコの無形文化遺産となった「和食」は本物のこだわりがあるのも大事ですが、実際には海外では現地に溶け込む変種(変わり種)が受け、「本物の掟」ではなく、「ビジネス創造」として捉える韓国人や中国人の店が成功したりするのです。私はMAGのうち、MとAが自分の中で「今年のてこ入れビジネス」になっているのでこの展開が今年の挑戦の一つになります。日本の「付録付き雑誌」ももう飽きてきた中で、次の一手探しはなかなか難しいものです。

後記
「佐渡金山」の世界遺産登録を目指すという判断を岸田首相が行いました。どちらかというと国内の保守派を抑えるための選挙対策ですが荒海に出る方(交渉や説得する担当者)は相当の心構えが必要です。ただ、韓国が大統領選挙で真っ二つとなる中、双方が共に日本叩きをしても打ち消し効果になるので戦略的には厳しくとも挑戦する価値はあると思います。これが登録されれば佐渡の金山ではなく、「日本の金山、岸田の金星」になりますが、どうやら私も歴史問題の余波対策をしなくてはいけないかもしれません。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2022年1月29日の記事より転載させていただきました。

文・岡本 裕明/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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