立てこもり犯が人質を射殺した事件。なぜ、こうも悲惨な事件が続くのでしょうか?犯罪の全体数は減っている、凶悪犯も減っているのは統計上の話で私が気になるのは犯罪の質が変わってきたことです。人が切れやすい、そして極端な行動に走るケースが目立つようになりました。ごく普通の人が突然、凶暴になったりします。社会は病み、見えないストレスを抱える、そして、幸せそうなに見える人が多いから余計に疎外感を持つのかもしれません。我々は全く新しい問題に直面しているのでしょうか?
今週のつぶやきをお送りします。
マーケットは…読めません
先週のこの項で「午前と午後で天気が変わる今の株式市場は異常事態」と申し上げました。今週もその傾向は続き、潮目が変わるかと思った水曜日のパウエル議長の記者会見中は株価が溶けるよう下がっていきました。それ以降も全く落ち着かない展開です。1929年の大暴落はその予兆で数か月前から株価が激しく乱高下しています。強気と弱気がぶつかることを意味しますが、現在の株式市場はその渦に巻き込まれており、まだグルグル回っている状態です。
パウエル議長は雇用も消費も極めて強いというタカ派的なスタンスでした。自信満々です。同じ日、カナダ中銀も金融政策決定会合をしましたが噂された利上げは見送りで「弱腰」と評されてしまいました。カナダだけ利上げするのはよくない、つまりアメリカと歩調を合わせたいというのがアリアリと見え、3月の利上げが逆に確定的にもなりました。
経済だけ見れば雇用を中心に長い正常化への道のりをゆっくりしたペースで進むはずですが、利上げペースがそれを上回るのは決して正しいとは思いません。一部には今年7回とか3.00%まで上げるといった極端な予想もあります。地政学的問題やサプライチェーンや半導体不足の問題、景気が良いというより「可処分資金増大」(フローではなくストックとして使える家計の余剰資金の増大)が積みあがっただけという背景も考えれば市場は最悪シナリオを織り込み始めたとも取れます。ならばポジティブシンキング的に嵐が過ぎてそろそろある程度落ち着くとみたいところですね。
孫正義氏の苦悩
孫正義氏はマゾではないか、と思うときがあります。わざわざ苦しい方に突き進んでいる、そしてそれを次々に解決し、また問題にぶち当たる…これの繰り返しです。それは投資先の問題だけではなく社内幹部人事でも同じです。今般、孫氏の右腕とされたマルセロ クラウレ氏が報酬をめぐって対立、退社しました。クラウレ氏の一昨年の報酬が21億円、昨年が不満たらたらの18億円、それでも日本の上場会社では3番目に多い金額です。かつて日産にいたゴーン氏が10億ちょっとの報酬をもらったことで日本中で大騒ぎしたのは今は昔です。

もっとも孫氏にも「お前を引き止めない」と言わせる理由もあったわけで報酬をめぐってはクラウレ氏は「1150億円も要求した」(ブルームバーグ)ともされ、宇宙人でもしないような要求を平然とするマネー社会の影の部分を見せつけられたと思います。ただ最近、どの世界でも優秀とされる人材の報酬は尋常なレベルではありません。そして「会社が払わないなら俺は辞める」という脅迫状を常に突き付けます。我々レベルの小さな会社でも「2週間ノーティスでいつでも辞める」と脅され、困らせる輩が昔からいるのが北米の雇用社会です。
それでも数々の難関を突破してきた孫氏は副社長にラジーブ ミスラ氏が残っているので彼を立てる一方、次の人材を探しながら他の方法、つまり一人の人間の才能に頼らない手段を練るのでしょう。ではなぜ、孫氏のもとを優秀な人材が去っていくのでしょうか?これは簡単で、孫氏を超えられないからです。彼らは資金運用の腕自慢です。なのに自分の名前では売れないのが悔しいのです。キャシーウッド氏などはその典型です。孫氏のもとには超優秀で忠誠心ある人間は根付かない、これが孫氏の最大の弱点であることは今も昔もこれは変わらない話です。