「あなたにとっての安定収入はいくらですか?」と問われたら、あなたは何と答えますか?
一人暮らしなのか、DINKs(共働きで子どもを作らない、持たない夫婦)なのか、子育て世帯なのか、リタイヤ世帯なのかなど、世帯や環境によっても答えは変わるでしょう。
「お金ならいくらあっても良い!」と言いたいところですが、現実的ではありませんよね。
そこでこの記事では、「なぜ今、安定収入を求める人が増えてきているのか」考えていきたいと思います。
※本文では「安定収入」の定義を「生活が安定する水準としての収入」としております。
目次
安定収入を求めている人が増えている
副業で本業+αの収入
安定収入を求めている人が増えている
ゆとりを実感できない
まずは、厚生労働省「平成30年国民生活基礎調査の概況」の「Ⅱ 各種世帯の所得等の状況 」から「1世帯当たり平均所得金額の年次推移」を手がかりに見ていきましょう。
全世帯平均でいうと1994年の664.2万円が最高値で、その後は漸減しています。
調査上の最新データである2017年では551.6万円となっていますので、ここ20数年で100万円以上、下落していることになります。
リーマンショックから立ち直った2014年以降は緩やかに上昇しているのですが、「各種世帯の生活意識」では55.7%の人が「生活が苦しい」と答えています。
消費税の増税や社会保険料の負担増大などによって、生活のゆとりが実感できていない状況なのです。
全世帯の平均所得は551.6万円ですが、実はその平均所得金額以下の世帯が62.4%も存在しています。
つまり、世帯平均所得が「一般的な家庭の状況」を表しているというわけではないのです。
統計では平均値以外に「中央値」というものがあります。中央値とはデータを小さい順に並べた際、ちょうど中央にくる値のことです。
世帯所得の中央値を見てみると、432万円になります。
こちらのほうが実感に近いものがあるのではないでしょうか。
(参照元:平成30年国民生活基礎調査の概況)
将来への不安から
安定収入を求めている人が増えているもう一つの理由として、長らく日本型経営の象徴であった終身雇用制度と年功序列システムが崩れ始めているという事実があります。
グローバル経済の展開によって様々な社会領域が変動し、これまでの企業のあり方に変革が迫られているわけです。
日本を代表する大企業が、40代の中堅社員を次々とリストラしている姿を見て、不安を抱いているサラリーマンやOLは少なくないのではないでしょうか。
「良い企業に就職できれば一生安泰」という時代は、もう終わってしまったのです。
パワーカップルが理想?
「パワーカップル」という言葉をご存知でしょうか。
ニッセイ基礎研究所の定義によると、夫婦共に年収が700万円以上、つまり世帯での年収が1400万円以上の夫婦を指すということです。
パワーカップルであれば、充分に安定収入を実現できていると言えるかもしれません。
では、パワーカップルは、実際どれくらいいるのでしょうか。
同研究所によりますと、全世帯で0.5%、共働き世帯の中でも1.8%しか存在していません。
パワーカップルの収入をもって安定収入とすると、多くの人にとっては実現が難しい「高嶺の花」となってしまいます。
(参照元:「パワーカップル」世帯の動向)
年収+100万円ぐらいが妥当か
それでは、いったい安定収入とはいくらなのでしょうか?
インターネット・メディアのINOUZTimesが「年収、あとどのくらいアップしてほしいですか?」という調査をしています。
全国の成人男女を対象にしたリサーチによりますと、その質問に対して「100万円」と答えた人が一番多く、30%いたということです(100サンプル、男性47人・女性53人、平均年齢37.4歳)。
いかがでしょう。かなり私たちの体感に近いのではないでしょうか。
ざっくり言って、本業の年収にプラスして100万円あれば、安定収入だといってもいいのかもしれません。
(参照元:年収“願望”調査 社員のホンネは「あと100万円!」)
副業で本業+αの収入
「働き方改革」で残業ができない
かつて、サラリーマンやOLには年収を増やすために、残業をして残業代を稼ぐという方法がありました。
ところが、近年叫ばれている「働き方改革」によって、企業が社員に一定以上の残業をさせることが法的にできなくなりました。
働き方改革の中でも特に重要視されている「ワークライフバランス(仕事と生活の調和)」によって、日本人の働き過ぎが問題視されている今日、残業することによって年収を上げるというのはなかなか困難です。
企業側にとっても、非合理的な残業の増大は生産性を悪くするので、戒められることは間違いないでしょう。
「副業解禁」とは言うものの…
なかなか残業できないとなって、注目を浴び始めたのが副業です。
厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を発表するなど、政府も副業を推奨しているほどです。
ただ問題なのは、副業をすれば必ず安定収入を得られるというわけではないということです。
副業には専門的知識や特殊技術などのスキル、集中できる時間、そして自己資金が必要となります。
「業」と名が付いていますので、規模は小さくとも事業と同じです。起業家と同じようなリスクを背負う覚悟が必要になるのです。
いくつか実例を挙げて考えてみましょう。
データ入力
パソコン一つで手軽にできる仕事にデータ入力というものがあります。
ただし、作業量や能力にもよりますが、作業時間はかなり長いものになります。
また、報酬も決して高いとは言えません。
アンケートモニター・ポイント活動
こちらはさらに手軽ではありますが、報酬は微々たるものでしょう。
ウーバーイーツ
最近脚光を浴びている職業の一つで、休日や平日の空き時間に行う人が増えていますが、純然たる肉体労働といえます。
せっかくの休日に平日以上に疲弊することになっては、本業に支障が出ることになりかねませんし、健康を害してしまっては元も子もありません。体力に自信のある方向けの副業になるでしょう。
ブログ・アフィリエイト
成功すればかなりの報酬が期待できるものではありますが、月に5~10万円まで稼ぐのに半年から1年以上かかるとされていますし、必ず成功するとも限りません。
毎日毎日苦労して記事をアップしても、報酬が月100円ということもザラにあります。
YouTuber
1億円プレーヤーを何人も輩出していて、今もっとも夢のある副業と言えますが、成功する道はとても険しいと言わざるを得ません。